「なぁ、宮城の高校の制服って、学ランだった??」
流石は我が愛しのテロリスト・高槻忍。
何の脈絡もなくこんなことを聞いてきました。
「あぁ、そうだけど、それがどうした??」
「今度、大学の友達と鍋パやることになってさ。そこで仮装しなきゃいけなくて、俺、くじ引きで学ランだったんだよ。…やらねぇと昼飯奢らなきゃいけなくなるからさ…。」
「そうなのか…あぁ~多分実家に置きっぱなしだと思うが…送ってもらうよ。」
…これが数日前の出来事である。
制服…なんて15年振りくらいか。
高校時代は殆ど先生との時間に費やしていたせいか、あまり当時のことを覚えていない。
でも今は忍がいることで、毎日慌ただしいが充実した生活を送っている。
「やぎ、…----おい宮城っ!!」
「おぉすまんすまん、学ラン、試しに着てみるんだったな。」
いつの間にか自分の世界に入ってしまったせいで、少々ご立腹な忍ちん。
機嫌を治してもらうため、さっさと学ランを試着してもらうか…。
「何で2着も残っているんだか…。」
何故か母親は2着も学ランを残していたらしく、その2着共送ってきた。
「あぁ…でもサイズ違うみたいだな…。」
とりあえず2着共、忍の元へ持っていった。
忍は目をキラキラさせながら、学ランを広げていた。
よく、ブレザーだったやつは学ラン、学ランだったやつはブレザーに憧れるっていうから、忍も学ランに憧れたのだろうか。
サイズを見て、忍は上着を脱いで学ランを羽織ってみていた。
「どうだ、サイズ合うか??」
「…うん、ちょうどいい。」
何故か顔を真っ赤にしながら返答する忍。
そして何だか不安そうな目で俺を見ながら聞いてきた。
「なぁ宮城、お願いがあるんだけど。」
「んん??何だ??」
「…宮城もその学ラン、着てみてよ。」
…でた。
テロリストの爆弾投下。
少し丈の長い裾をモジモジしながらのおネダリ。
…オジサンの理性を切り崩す気ですか。
「いや~俺は学ランとか着たって笑って済まされないくらいのオジサンだからさぁ~…忍ちん??」
「俺しか見てないからいいだろ??お願い、宮城…!!」
くそ、そんな可愛い格好で頼まれたら…
やるしかない…。
多大なる勇気を振り絞り、俺は引き出しから引っ張ってきたワイシャツに着替え、上から学ランを羽織った。
着替え終わった姿を見た忍は、俺を上から下までなめ回すように見てきた。
流石に何も喋らない忍に対していたたまれなくなった俺は、
「あの~忍ちん??あんまジロジロ見られると、オジサン恥ずかしいんだが…。その、気持ち悪いならさっさと着替えたいのだが…。」
と恐る恐る話し掛けた。
すると忍は、今まで以上に顔を真っ赤にして、俺の理性を消し去る決定打となる爆弾を投下した。
「…すんごく…世界一カッコイイよ……宮城『先輩』っ//」
**おまけ**
「実はさ…仮装するは嘘なんだ…。宮城の高校時代のこと知りたかっただけなんだ。」
「それで何で学ラン??」
「大学の友達の付き合ってる彼氏が高校から学校が同じやつで。第二ボタンちゃんとくれたくらいラブラブだって話を聞いて。宮城は第二ボタン、誰かにあげてたのか気になったんだ。」
「生憎、そういうのは鈍感だったし、彼女もいなかったからな。…先生のこともあったし。」
「じゃあ、さ。俺にくれ、第二ボタン!!」
「はぁ??」
「…ください、……宮城、先輩。」
「~~っ//わ、わかった。くれてやるよ、『高槻』。//」
[4回]
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