それから私は、逮捕されたロス少尉、並びにホムンクルス捕獲のための計画を練るため、ヒューズが死んでからずっとしていた女遊びや男遊びをきっぱりやめた。
計画を一刻も早く成功させ、真相を知りたかったのと、ハボックを左遷させようとしていたからだった。
ある日、夜勤で休憩のため、コーヒーを淹れに廊下を歩いていたら、先日のクーデターで負傷していたハボックの小隊の者とすれ違ったので、声をかけた。
「もう怪我は大丈夫か??」
「あ、はい!!…あの、大佐、少しお話が…。」
神妙な面持ちで、その隊員は、私に話を持ちかけてきた。
ちょうど仕事もキリが良かったし、まだ夜は長い。少しくらいは…と、私はコーヒーを入れて執務室に招いた。
「実はあのクーデターのとき…本当なら、隊長、あんなに怪我をせずに済んだはずなんです。」
確か、ハボックは「わざと」怪我をしたと言っていた。当然、あれほど怪我をしなくても良かっただろう。
しかし、目の前の部下にそんなことを教えて、あとの作戦行動に響くような動揺を与えるわけにもいかず、
「そう、なのか??」
と当たり障りのない返事を返した。
しかし、隊員が話した本当のハボックの重傷原因に…私は耳を疑った。
「実は…クーデターの首謀者が、大佐のことをすごく馬鹿にしたようなことを言ってきたんです。それを聞いた隊長が、「お前に大佐の何がわかるってんだ!!大佐はなぁ、大総統になる人間なんだ!!だけど周りの人を見捨てられなくて、人一倍優しい人なんだ!!お前、大佐のこと全然わかってねぇ!!」って、ひとり、クーデターを起こしたやつらのところへ飛び込んじゃったんです。
その首謀者は、大佐もご存知かと思いますが、錬金術師でして。こちら側も負傷者が多かったので、応援が来るまで待機しようということになってはいたんですが…。
案の定、隊長はボロボロになってて。でも錬金術師のやつを捕えていたんですよ!!
…あぁー……あの時の隊長、カッコ良かったっす!!…あ!!これ、隊長には「大佐には内緒にしとけよ??調子にのるから、さ。」って言われていたんですけど、どうしてもお伝えしたかったんで…!!」
…ウソ、だろ
じゃあなんで私にあんなウソをついたんだ??
どうしてそこまでして私を護った??
…どうしてそこまでしてお前は私に恨まれるような行動をとった……?!
私はハボック小隊の隊員の声が聞こえなくなっていった。
『なぁ、ロイ』
『何だ、ヒューズ』
『お前、今幸せ??』
『…なんだ急に。…まぁ、お前が傍にいてくれれば、私は十分幸せだよ。』
『そういやあのワンコロ、ほんとお前に懐いてるよなー』
『ワンコロ??…あぁ、ハボックのことか??』
『うん。…あいつなら、任せられるかな……』
『任せるって、何をだ??』
『んー内緒v』
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