「そんじゃ八戒せんせーのご見解とやらを聞きましょうかね。」
家に帰ったら、八戒が過去の記憶を取り戻させない理由を聞いてきた。
だから俺は、まず八戒なりの見解を聞いてみることにした。
仮にも学者を志しているやつだから、それなりに考えがあるだろうしな。
「僕は…過去にそうしなければならない状況になったから…かと考えました。」
「うん、それも当たりだし、サルが言ってたことも当たりっ。」
あらかた検討は当たっていた。
しかし八戒は、まだすっきりしてないようだった。
少しして、八戒が重い口を開いた。
「悟浄。僕は、もしあなたが僕の先祖との間で、辛い過去があったのなら共有したいですし、その上で、ご先祖様たち以上に『今』の悟浄とちゃんと幸せになりたいんです。…ここまで望むことは…いけませんか??」
こいつは俺との幸せを願ってくれている。すべてを受け止めた上で幸せになりたいと…そう願っている。
…前世でのあの事件を知ってもなお、こいつは俺を…好きでいてくれるのだろうか…。
「八戒。」
「はい。」
「お前のキモチ、まじ嬉しいよ。俺、愛されてるんだな、ほんと。でもな、八戒。やっぱもう少しだけ待ってもらってもいいか??」
「……理由を聞いても??」
「もちろん。……なんでかっていうとな、俺がまだ覚悟できてねぇんだ。…まだ、不安なんだ。…バラしたところで、お前に好きでいてもらえるか。……天下のホスト様が何言ってるんだろうな……。でもな、絶対明かすから。だから待っててほしいんだ。」
「…ほんとあなたって人は…。いいですよ。こう見えて、僕、結構待つの得意ですから。待っていますよ。」
「有難うな。」
八戒が眠りについたあと、三蔵の部屋へ行った。
「起きてるか~三蔵。」
「なんだ、悟浄。」
「…そろそろ明かさない??あいつらの記憶。」
三蔵はふっと下を向き、考えていた。
三蔵にとっても、悟空と八戒に記憶を開示することは不安らしい。
少しして、三蔵は静かに話しかけてきた。
「…八戒に聞かれたのか。」
「そういう三蔵サマもです…か。」
どうやら三蔵も、サルに聞かれたようだ。だったら話は早いかな。
「…あぁ。だがら、貴様の言うこともたまには聞こうと思ってな。……アイツがこの町に入ったという情報を仕入れた。そろそろ本格的に準備して迎え撃たなくてはならない。」
「…そう、か。了解。」
[1回]
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