「お兄ちゃんの学校はブレザーだったんだね~。パパは学ランだったから、新鮮だなぁ~。」
何を思ったのか、数日前、ひよが俺の高校時代の写真を見たいと言ってきたので、卒業アルバム等が入った段ボールを丸ごと持ってきてやった。
桐嶋さんは今日は休日出勤している。
…こんな写真を見られたら、何を言われるかわからないから、いなくてよかったとほっとする俺がいた。
「お兄ちゃんのブレザー、今着てる上着よりちょっと小さいね!!うわ~ひよが着たらブカブカ♪」
ひよが俺のブレザーを着ながら楽しんでいる様子を見ていると自然と頬が緩んでしまう。
もう少ししたら、ひよも中学生。
あの様子だと、可愛い制服の学校に行きたがりそうだな…とふと思った。
「お兄ちゃん!!私の携帯で写真撮って!!」
「おう。…はい、チーズ。」
*****
夜になり、日中騒いで疲れたらしいひよは、いつもより早く寝ていた。
入れ違いで桐嶋さんが帰ってきて、一緒に晩酌をすることになった。
「今日、ひよから写メ送られてきて見たけど、お前の高校って、ブレザーだったんだな。」
「(ひよのやつ…あの写メ、桐嶋さんに送っていたのか…)あ、あぁ、うん。桐嶋さんの所は学ランだったらしいな。」
桐嶋さんが何か企んではいないだろうか、と逃げ腰になった影響で、返事が若干変になってしまった。
「うん。だからさ、ちょっとだけ学生時代気分になってみないか??」
「は、はぁ??この年でそれはないだろ…」
呆れて何も言えない。
やっぱり桐嶋さんは突拍子のないことを考えていた。
「お願い、横澤。俺に学生時代のお前を見せて。」
そう言って、桐嶋さんは俺にブレザーを着させた。
「ふぅん、ブレザーってこんな感じなのか。…なぁ、ソファーに座ろう、横澤。」
下から上まで俺の恰好をなめまわすように見た桐嶋さんは、俺の手を引き、ソファーへと連行していく。
…こうなったら桐嶋さんに従うしかない。
「…横澤、手、握っていい??」
いつもなら聞かなくても勝手にやるくせに…。
ふと桐嶋さんを睨みつけようと横を向いた瞬間、桐嶋さんの満面の笑顔と鉢あってしまった。
(…くそ、反則だその顔!!)
俺は仕方なく、震えながら手を握ってやった。
次の瞬間、桐嶋さんは空いている手で俺の顔を桐嶋さん側に向けさせた。
目線が合わさった瞬間、
「…横澤、好き。」
なんてことを幸せそうな顔をして言ってきた。
この甘さに溺れてしまいそうだ。
そういえば、学生時代はよくこんな甘い恋愛が出来たら…なんてことを友達と話していた気がする。
…今こんなに甘く感じるのは、自分が学生服を着ているからか…
いや、…違う。
多分いつも俺が桐嶋さんの甘さから逃げているからこんなふうに甘く感じるのだろう。
…いつも逃げているのは、万が一それを失った時の怖さを知っているから。
でも
今日くらいは。
この甘さに乗じてもいいか。
「…あんたも。」
「えっ??」
「…桐嶋さんも、いつも俺のことを…その…好きでいてくれて、有難う。」
「言ったな、横澤。今日は覚悟しろよ。」
★その日の夜★
「くそ…腰痛ぇ……。」
「お前が可愛いことを言うからいけない。」
「全くそんなことは言ってない……。」
「…そういや桐嶋さんは学ランだったんだってな。やっぱブレザーは憧れだったりしたのか??」
「うーん…あんまりそういうことは考えたことなかったけど。…あ、ちょっと待て。」
-----数分後
「はい。」
「…??ボタン??」
「俺の学ランの第二ボタン。」
「は??」
「プロポーズしたんだし、これもお前に渡しておくよ。俺が好きなのはお前だけっていう証。」
「~~!!//」
[20回]
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COMMENT
拍手コメントありがとうございます
こんばんはー!!おかのです。
拍手コメント有難うございました!!
気づくの遅くなってしまってごめんなさいです(*_*)
可愛い桐横+ひよは目指している方向性ですので、とっても嬉しいです!!感激です、素敵なコメント有難うございました♪
また是非いらしてくださいませー。
おかのてる