むかしむかし、あるところに京都イチの陰陽師がいました。
その陰陽師は、あろうことか、敵である妖怪…しかも京都イチの妖怪と恋に落ちてしまいました。
その陰陽師の名前は………『ろい・増田んぐ』-----通称、『ろい・増田』。
そしてお相手の名前は……『じゃん・はぼっく』。
さて、今宵も彼らのお話をちぃとばかし、いたしましょう………。
「はぁ…はぁ……。」
ある夜のこと、ろいとじゃんはいつものように夜伽をしておりました。
「…大丈夫??そろそろ霊力限界かな……。」
「へ、いきだ。お前こそ、ずっとその姿でいるとさすがに妖力が弱まるんだろう??私の霊力を吸収すれば、少しはましになるんだ。そのためなら全然構いやしない。」
「ふふ…、俺って相当愛されちゃってる??」
「んあっ!!…いきな、り、動かすなぁ……!!」
******
朝方までその行為は続きました。
じゃんはろいの着物を正して、布団の中へとろいを入れると、襖を静かに開けました。
「…ぶれだ、いるんだろう。」
どうやら近くにじゃんの昔からの友達のぶれだがいたようです。
「おい、はぼ。偉いことになったぞ……。」
ぶれだは血相抱えて出てきました。
じゃんもまた、ぶれだの様子がただならないものだったので、狐目を細くし、神妙な顔になりました。
「どうしたんだ。…そういや東の方が若干妖力が高まっているようだが。」
「そうなんだよ…実は東の狸じじい、『ぐらまん』がこっちに来ているらしいんだ。」
「あのおっさん…何しに来たんだよ……。」
「そんではぼ、お前が今人間と暮らしているってことも耳に入ったらしくてな……。人間とつるんで、妖力弱まってないか確かめるために、お前のところに何匹か、妖怪を送り込むって言ってきたみたいなんだ。」
「まじかよ…。」
じゃんがこの建物に残っていたら、ここでその妖怪たちと戦闘することになり兼ねません。
ろいには関係ないことですし、じゃんはどうしようか…と考え始めました。
「…何も言わずに出て行っても、多分あの人のことだからすぐ俺を探しに行くだろうな……。よし、仕方ねぇな…妖力は結構使うが、結界張るしかねぇな。」
「はぼお前、正気か?!ただでさえ日頃ここにいて妖力減ってるのに……!!」
「正気だよ。あーでも結界作る前にお前に頼みがあるんだ。」
「なんだよ。」
「俺の張る結界に、お前と…あと…そうだな、ひゆうずさんも入れてほしんだ。」
「あの髭野郎はともかく…なんで俺まで?!」
するとじゃんはぶれだの肩をがしっと掴み、強い眼差しを向けてきました。
「実は…な。」
そう言って、じゃんは静かにぶれだに話しかけました。
さて、じゃんはどうするのでしょうか……。
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