俺の部屋に誘い、一夜明かした次の日。
俺も八戒も休みだったので、ゆっくり起床した。
「悟浄って、朝寝坊するタイプだったんですね…。」
驚いたように言ってくる八戒。
確かに高校時代、俺は彼女の約束はちょー守る主義で、デートは一度も遅刻しないやつだった。
まぁ、社会人になってそれなりに付き合っていたときもそうしていたのだが。
「お前だから…かもな。」
「えっ??」
「あーう~ん、多分こっちが本来の自分。俺、マイペースなんだよ、ほんとは。あーゆー完璧主義な演技は大変なんだぞ…朝は目覚まし5台かけるしな。」
俺は小さい頃、DVを受けていた。
程なくして施設に連れてこられたは良かったが、お陰で人の顔ばかり気にする嫌な人間になった。
適当に注目を浴びるような存在になれれば良いと、色々やっていたら今の自分が出来上がっていた。
「僕の前では…本当の悟浄になれているんですね。」
噛みしめるように八戒は言った。
少し重かっただろうか。
でも、こいつの前ではそのままでいたかった。
こいつには俺を本気で好きになってもらいたかったから。
「お前にしか本当の俺は見せねぇし見せたくねぇよ。…だから八戒、お前も本当のお前を見せろよ。全部俺が好きになるからよっ。」
それを聞いた瞬間、八戒が茹で蛸のように真っ赤になった。
(照れてるな…可愛いなぁ)
「そうそうその調子でな。」
「もう…今の言葉は本気なんですか??//」
「さっきも言っただろ、お前の前にいるのは本物の沙悟浄だって。」
そう言って、俺は今感じているほんわかとした幸せを八戒に伝えるべく、抱きしめた。
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