「やっぱ好きだな~。」
急に猿のやつが、そんなことを言ってきた。
もしや俺に向けてなのか…と思いつつも、視線は新聞に向けたままにしておく。
「俺からこれとったら何にも残らないもんな~。」
ほう。そんなに大事か…。
少しだけじわりとあたたかいものを感じるが、もう少しだけ聞いていよう。
「やっぱ俺食べるの大好きだわ~♪」
「なん、だと??」
「へ??なに、三蔵。」
「そんなに俺以外に『好き』と言うんじやねぇ…。」
「さ、三蔵…???ちょ、目がちょー座ってるんだけど??!!…って!!昼間から何盛ってるんだよ三蔵!!//」
「お前が悪い。責任とって俺に喰われろ。」
*********
「…なんで3回もヤったんだよ三蔵…!!昼飯食い損ねたじゃん!!」
「お前が悪いだ。自業自得だろう。だいたいお前は俺に『好き』とかそういうことをなぜ言わない。」
「三蔵が言い過ぎなんだろ…。」
こいつはヤってるときですらそういうことは言わない。
猿のくせにいっちょ前に理由があるのだろうか。
「三蔵、あのさ。」
そんなことを考えていたら、猿はまじめな顔をして話しかけてきた。
「何だ。」
「その…俺が言わなくて三蔵を不安にしてたならごめんなさい。でも理由あるから聞いてくれる??」
どうやら悟空なりに理由があったらしい。
ここは真面目に聞くに限る。
「あぁ、聞いてやる。」
「あの、ね。俺が三蔵に『好きだ』って言ったら、三蔵は、死んでも俺に縛られることにならないかなぁって。」
「死んだ人の魂は自由じゃん??俺が死ぬまでに三蔵が生まれ変わったら、生まれ変わりの三蔵も俺を好きじゃなきゃダメだろ??」
「悟空。俺はそれでも良い。いつの時代でも、お前を探してお前と一緒にいてやる。…だから言ってみろ。」
そうして、悟空は俺の耳元で幸せそうにこう言った。
『だ い す き』
『あ い し て る』
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