週末になり、時間が空いた俺は初日以来早く帰れていなかった吉野の家へ定時退社して向かった。
勿論飯の材料は忘れない。
玄関を開け、リビングへ行くと、芳秋と千秋が二人揃ってテーブルで絵を描いていた。
「お、トリおかえりー。」
「芳雪おかえりー。」
仕草まで吉野に似てきた芳秋。
どうやら吉野に懐いているようだ。
「なに描いているんだ??」
テーブルに寄ると、吉野と芳秋は慌てて絵を隠した。
「トリはまだ見るな!!」
「見ちゃダメだ!!」
…まるで父親には内緒で子供と何かを企んでいる親子のようだと思った。
そこでふと、吉野はこういう生活を望んでいるのではないかと思う。
俺と恋人関係にならなければ…。
そう思うと一気に不安になった。
吉野、お前はそれでも俺のことを好きでいてくれるのか……??
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トリの様子がおかしい。
帰ってすぐは機嫌が良かった…はずだ。
心配だけど、まずは芳秋と約束したものを渡そう。
「トリ、はいこれ!!」
「これ、は…??」
いつもの鉄仮面じゃなくて、本気で驚いた顔をしたトリ。
と、とりあえず成功かな。
「芳秋明日家に帰るじゃん。だからトリに有り難うって伝えたいって言ってきてさ。その…、お、俺もたまにはトリに感謝の気持ちを伝えなきゃな…って思ったから、二人でトリの絵を描いたんだ。芳秋、あいつ絵が上手いんだよねー。」
そこまで言って、ふとトリの顔を見たら、何か困ったような顔をしていた。
「と、トリ??」
「吉野…お前、やっぱり家庭を持ちたいか??」
「へっ??」
神妙な面持ちでそんなことをトリが聞いてきたものだから、俺は一瞬頭が「??」でいっぱいになったけど、何となくちゃんと答えなきゃって思ったから、真面目に答えることにした。
「うん。…トリと、今みたいに、ワイワイした家庭は楽しいだろうなって思った。…今回さ、トリが親戚を預かるって言ってきたとき、俺嬉しかったんだ。トリとちょっとの間だけだけど、…そ、その…家族みたいな生活が出来るんだって思ったから///」
そこまで言ったら、トリがいきなり俺を抱き締めてきた。
「と、トリ?!」
「俺も嬉しかったよ、千秋。俺も同じ気持ちだよ。有り難うな、千秋。」
「お、おう//」
そうして、俺たちは、どちらからともなく、飽きるほどキスを繰り返したんだ--------。
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★オマケ★
「そういや、芳秋が俺のこと大好きって言ってくれてさぁ~。嬉しかったな~。」
「ほう…浮気か、吉野。」
「えっ?!な、何ですごく怒ってるんだよトリ!!ちょ、や、やめろって!!今日はもう無理だって!!」
「俺がどれだけお前のことを好きか、お前はまだわかってないようだからな…。」
「あ…んんっ//と、トリぃ…//」
芳秋にも嫉妬したトリでしたとさ(笑)
[2回]
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