「三蔵!!大丈夫か?!」
「こーんなんでへこたれちゃぁ困るよなー、三蔵サマ??」
「うるせぇ……。」
「三蔵あまりしゃべらないでくださいよ。傷がまた開きます。」
第31代唐亜玄奘三蔵法師とその一行------三蔵一行は、妖力の源となっているところをひとつ閉じるため、とある土地を訪れていた。
「ちょっとの間、ここを守れ。俺は封印の書物をざっと読む。」
「OK三蔵!!任せろっ。」
「早めに頼むぜー三蔵サマー。」
三蔵一行の悟空、悟浄、八戒は、三蔵の指示の通り、三蔵に近づく妖怪を一人残らず倒していく。
少しして、三蔵は巻物を読みきったらしく、魔界天浄で妖怪を一掃した。
「三蔵、読み終わったのか??」
「あ、あぁ。……おいクソ河童。ちょっと来い。八戒とサルはそこで待ってろ。」
「了解しました。」
そう言って、悟浄を連れて三蔵は八戒たちと距離を置き、巻物に書いてあったことを離し始めた。
「…よく聞け、クソ河童。…この封印には、俺とお前の血がまず必要だ。しかも俺たちだけではなく、子孫まで続く。数十年に一度はこの封印のため、俺とお前の子孫の血を使い、封印をしなくてはならない。」
「なーんでだよ?!というか俺は混血だぞ??」
「その血が必要なんだよクソ河童。俺の三蔵法師の血と、お前の混血が必要なんだ。」
悟浄はあまり納得していない様子だったが、そのまま三蔵は話を進めた。
「それともう一つ問題が発生する。」
「なんだってんだ。」
「…悟空と八戒が死ぬことになる。」
「??!!」
三蔵は静かに悟浄に伝えたのだが、その内容があまりにも衝撃過ぎたのか、悟浄は三蔵の胸倉を掴み、思いの内を一気に吐き出した。
「冗談も程ほどにしろよクソ坊主!!!!そもそも悟空は斉天大聖、八戒は人間から妖怪になった特殊な妖怪だぞ??!!そんなやつらが簡単に死ぬわけねぇだろ!!!!それに、今回の封印は、人間の気と妖怪の気が2つずつ必要だってお前も言ってただろ!!!!あいつらが死んだら封印もできねぇだろうが!!」
悟浄が言うことがごもっともだったのか、三蔵は髪で顔を隠してうつむいたままであった。
「…悟空と八戒は、封印が終わった直後に死ぬことになる。だから封印には問題がない。…この封印には、妖怪の魂を…しかも相当強い魂を2つ、贄として差し出さなければならないらしい。……妖怪を封じるなら妖怪を…ってやつだ。そして、その2つというのは、封印を行った2つの妖怪の魂が該当するらしい。」
「…お前が言うこともわかる。だがここを封じなければ…」
「暴走は止まらない。」
「……あぁ。」
悟浄は流石に悩む姿勢を見せた。
無理もないだろう。
突然大切なヒトが死んでしまうかもしれない事実を聞いたのだ。
少しして、悟浄は意を決したように三蔵へ向き合った。
「条件がある。…俺たちの記憶は消してもらえねぇか。」
「…俺は悟空にはそうするつもりだったが…お前も良いのか。」
「あぁ。…どうせなら俺、恨まれといたままの方が良いわ。」
こうして、三蔵と悟浄の血を使い、封印の儀式が始まった。
「悟空。」
「なに??三蔵。」
「お前とこうして対等に向き合ってお前を大切にしていられて、俺は幸せだった。」
「な、何言ってるんだよいきなりっ//しかも過去形じゃねぇだろ。『これからもずっと』だろ!!」
遠目で悟空と三蔵を見ながら、八戒はぽつりと呟いた。
「悟空はアツいですねぇ…ねぇ悟浄。」
「いや俺も幸せだよ、こうしてお前とのほほんと過ごせて、さ。」
「あなた、柄でもないことを…。三蔵に触発されました??」
「なぁ八戒。」
「はい。」
「俺のこと、好き??」
「もう…今日は甘えたさんですね、悟浄は。…大好きですよ、悟浄。あなたの紅で僕を縛り続けてくださいね。」
「…さんきゅ、八戒っ。……三蔵。」
「わかった。」
次の瞬間、まるで操り人形の紐が切れたかのごとく、悟空と八戒が倒れた。
「悪いな悟空。ここを封印するにはお前と八戒の魂が必要だから死んでもらうぞ。」
「ま、どうせここを閉じたらお前等も生きるのが辛くなるだけだし、調度良かったな。」
しかし言葉とは裏腹に、三蔵と悟浄は涙を流していた。
その様子を見ながら、悟空と八戒は静かに息を引き取ったのだった。
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