「ただいま戻りました~。」
店内に入るとリザが準備をしていた。
「護衛のくせに、かなりフラフラ出歩くのね、ハボックさん。」
「へへへ…ちょいとヒューズさんに呼ばれていまして。」
リザとハボックのところへ、マスタングも加わった。
「ヒューズは何か言っていたか。」
「だん…じゃなくて店長~。あ~シューズさんは特に何も言ってなかったっすよ。」
「そうか。」
その刹那、ハボックは強い殺気を感じ、マスタングを抱え、ソファーの裏に隠れた。
その直後、銃声が何発か鳴り響いた。
「店長、大丈夫っすか?!」
ふっとマスタングを見ると、顔を真っ赤にしていた。
「どこか痛みますか?!」
「い、いや…何でもない。大丈夫だ。リザは大丈夫か??」
「リザさーん!!平気っすか?!」
「私は平気。にしてもよく気づいたわね、ハボックさん。」
「アハハ…。(そらぁ俺スナイパーだし…。殺気には人一倍敏感だっつーの。)それよりまだ銃を持ったやつの気配が消えないんで、きっと近くにいそうっすから、店長は俺の傍を離れないでくださいよ。」
「あ、あぁ…。」
少しして、ザク、ザクと足音が聞こえてきた。
「おーい、まさかあなたがいるとは…!!【冷犬】!!あなたもロイ・マスタングの暗殺を請け負っているんでしょう…!!出てきたらどうです??」
(あいつは【紅蓮】キンブリー…。厄介なやつだな…。しかも俺に気づいている…。ここが限界か…。)
ハボックは意を決してスクッとソファーの裏から立ち上がった。
「おいキンブリー…。せっかく潜入してたのにバラすなよ。」
その台詞にマスタングは驚いて顔を上げた。
「ふん…知るか。それより【冷犬】、あなたは冷酷に素早くクライアントの指示を遂行する犬だったはず…。今回はどうしたんです??…まさか、ロイ・マスタングとはコレ(恋人)だったのですか…??」
その言葉にマスタングが反応し、ハボックを再度見上げた。
「…俺は……この人を護りたいって思った。だから殺さない。誰にも殺させやしない!!!!」
「まぁいい。どの道お前とは決着つけたかったからなぁ!!!!!!(バンンン!!!)」
キンブリーはマシンガンを取り出してハボックに向けて撃ちはじめた。
だがハボックは弾丸全てを避けきる。
「くそ…なんで当たらない!!」
キンブリーはイラついてダイナマイトを投げ込んだ。
それがちょうどマスタングの辺りに落ちた。
「店長!!危ない!!!!」
とっさにハボックはマスタングのところへ戻り、マスタングを庇ってダイナマイトから遠ざけた。
【バーン】
「は…ハボック!!!!!」
マスタングはハボックが庇ってくれたお陰で無傷だったが、ハボックはガラスなどの破片で至る所に切り傷をつくっていた。
「…店長……だ、大丈夫っすか??」
「お前…私を殺そうとしてたのに、どうして…??」
マスタングは困った顔をしてハボックに問うた。
「へへっ…あんたに惚れたから。あんた、強がってばかりだけど、人一倍優しい人だから。そんなあんたの傍であんたを護りたい…って…(ゲホッ)思ったんだ…。(やべ、意識飛びそう。)」
それを聞いていたロイの顔は、とても穏やかな顔だった。
しかし、次の瞬間、ころっと顔つきを変えた。
「…リザ。そいつを捕らえろ。」
「はっ。」
「おいそこのお前。」
「なんです??ロイ・マスタング」
「火加減はどのくらいがいい…。」
「はい…??!…っていつの間に?!」
キンブリーが気づいた頃にはリザが鉄製の縄で縛っていた。
「私のことをよく覚えておけ!!!我が名はロイ・マスタング!!二つ名を「焔」!!貴様を懲らしめる者だ!!」
そう言ってロイは白い手袋をしてパチンと指を鳴らした。
その瞬間、キンブリーは焔に包まれ、悲鳴があがったのだった。
…
………
……………
「今思うと、あの時の俺はツンケンした一匹オオカミみたいでしたね。」
「そうだな。でも、私はあの時のお前の背中が頼もしかったぞ。」
「結局ロイに助けられちゃったけどね。」
そう、お互いを見て笑い合う二人。
「あの時お前と出会っていなかったら、私はお前とこんなふうに抱き合うこともなかったんだろうな…。」
そう言って、ハボックをぎゅっと抱きしめるロイ。
「なぁに…ロイ…。まさか俺に欲情しちゃって呼んだの??(クスクス)」
「…そのまさかだよ、ジャン///……呼んではいけなかったのか??//」
「フフフ…No, sir. それじゃあエスコートいたしますよ♪」
「あぁ、よろしく頼むよ、ジャン。///」
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