俺と八戒は、一番のご先祖様たちの記憶だけ抜け落ちていたんだけど、三蔵と悟浄が戻してくれた。
俺たちの戻った記憶は一方的だったけど、三蔵と悟浄が真相を話してくれた。
これで最期に見た二人が泣いていたのもよくわかった。
やっぱり二人は、俺達が知ってる二人だったってこと。
「着いたぞ。」
三蔵の声で顔を上げると、記憶がなかったところの最期の場所だった。
近くには墓石があった。
「これ、悟空と僕の…。」
「あぁ。半分の遺骨はここに入れたんだ。」
「ではこれからのことを説明する。------嘘偽りなく、だ。」
三蔵の澄んだ声と共に、俺達は封印の計画について、三蔵から話を聞くことにした。
「今回の封印儀式で最後にしようと考えている。」
「おい三蔵!!そんなことしたらまた次のターンの時、妖気が垂れ流しになるじゃねぇか!!」
「話を最後まで聞け、クソ河童。」
何だかこの雰囲気がとっても懐かしく感じた俺は、小さく笑った。
同じように八戒もくすりと笑っていた。
そうだ。
この雰囲気は、一番古いご先祖様、唐亜玄奘三蔵一行の雰囲気だ。
「今回は封印儀式方法を変える。」
三蔵は話の続きをし始めた。
「まず俺と悟浄の腕を少し切って、そこから出る血を八戒と悟空に飲ませる。」
「血を…かよ。大丈夫なのか、こいつらは。」
悟浄の反応を三蔵は無視して話を続けた。
三蔵が言うに、血を俺と八戒が飲んだ後一度封印を解くらしい。
解いたら、怨念のように妖怪が群がるらしいから、三蔵以外で対処する。
三蔵が儀式の準備をし終えたら、魔界天浄で辺りを鎮め、儀式に入る。
「ここまではほぼ毎回同じようにやっているから、うまくいくだろう。…ここからが問題だが。」
三蔵は一息置いて、俺の方を見た。
「俺が封印の印をしたら、悟空、お前は俺が離れるまで何が何でも動くな。」
「何をするんです、三蔵。」
「封印が完全に終わるまで俺は悟空と口付けをする。」
「はぁ?!!//」
「八戒も悟浄とやれ。」
「えぇっ??!!!!//」
「俺は大歓迎だけど♪」
(なんでそんなことしなきゃならないんだ?!)
俺は頭が「??」で一杯になった。
「まずは血だが、これにより悟空と八戒の人間の血を少しでも増やす。そして口付けだが、封印の際、悟空と八戒は封印内に魂をひきずり込まれる可能性が高い。それを食い止めるために、魂が抜け出る口を塞ぐ。…これが代々三蔵が研究した結果だ。」
「わかりました。…悟浄と離れ離れになると、色々大変ですからね。」
「なんだとー。」
「…フフフ。宜しくお願いします、悟浄。」
「悟空。」
「な、なに、三蔵。」
「…俺の血は一番お前にとって、拒否反応が出やすい…。それでも…。」
三蔵は少しだけ眉間の皺が濃くなった。
…無理もないよな。
俺は妖怪中の妖怪、斉天大聖。人間に一番遠い存在。
でも
それでも
「大丈夫だよ、三蔵。…俺、三蔵信じてるから。」
「わかった。…今度こそ、お前を救う、悟空。」
「おう!!」
「…よし、準備は良いか、野郎ども。」
こうして、俺達『三蔵一行』の一仕事が始まった。
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