「俺は宮城に『一緒に住もう』って言ってもらえて、本当に嬉しかった。俺の傍にいてくれるだけでも本当に嬉しいのに、家も…帰ってくるところも同じになれるなんて、本王に俺たち運命なんだって思ったんだ。…でもそれだけじゃいけない。俺、ちょっと気を緩めすぎた。傍にいても、わからないことはまだまだたくさんあるんだよな。…ごめん、宮城。」
忍の言葉がすごく大人な言葉に聞こえて、少し俺は忍を遠く感じた。
でもこいつはまだまだ世間を知らない学生で。
成長しているのが当たり前。
これくらい言えてしまうのも、少し経てば当たり前…なんだ。
そんな変化も気づけない俺は……。
「恋人失格だよな、ほんと。」
「みや、ぎ??」
「今回お互い色々あったが、俺はやっぱり忍じゃないとダメだと感じたし、お前のちょっとした変化も読み取れないのがこんなにも悔しいものだなんて初めて知った。…せっかく帰る場所を同じにしたのに…な。」
「宮城はいいんだ!!俺がちゃんと言わなかったのが悪かったから……。」
「それもお互い様だろ。……謝るな。」
「うん。」
ここまで言って、俺は決意した。
俺もたまにはきちんと我儘になってみよう、と。
「今まで俺は、お前より年上だから、とか、教育者だから、とか…色々自分に理由をつけて言わなかったことがある。……でもな、忍。今回、お前は誰にでもモテることがよーくわかったから、俺は我儘になってみることにした。」
「えっ…??宮城が我儘??」
「そう。…忍。お前、あの同級生とどこまでした??」
この言葉を聞いて、忍は少し青い顔をしたが、すぐ俺の目をまっすぐ見た。
「…キス、されちゃったんだ。……宮城以外の人にされるなんて油断しすぎてた。…でも宮城もされたんだろ、あの教授に。」
「あれも不本意だった。…だからな、忍。俺はここ数週間、すごく気分が良くなかったんだ。そこで、だ。忍の力で俺を元の気分に戻してくれないか??」
この言葉だけで、忍は顔を真っ赤にして「馬鹿っ」と小さく言って俯いてしまったが、もうひと押しとばかりに俺が「忍」と呼ぶと、忍は意を決したように俺に飛びついて、腕を俺の首に回し、可愛く「シよっ、宮城」と言っておねだりしてきた。
この行動だけで俺の理性は飛び、空が再び明るくなり始めるまで、忍との行為は続いたのだった。
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数日後、桂木助教授の研修が終わり、桂木教授はM大を去って行った。
忍の友達…否、桂木助教授のご子息の話によると、助教授はさっぱり俺のことを諦めたらしい。
ご子息の方も、忍のことは諦めてくれたらしく、ただの友達に戻れたそうだ。
…個人的にはまだ心配だが。
でも
それでも
忍が傍にいることの奇跡に甘んじてばかりではいられない
俺も忍にもっと求められるような存在にならないといけないな、と思った
こうして、二つの嵐は過ぎ去っていったのだった。
[2回]
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