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隣にいてほしいのは(逆流砂時計さま相互記念)

相互リンクを貼らせていただいた『逆流砂時計』のはるあさまから、
「リクエストがありましたらどうぞ!!」という素敵なお言葉をいただいたので、
ここぞとばかりにリクエストをして参りました♪

はるあさま、素敵な桐横をありがとうございます(>_<)
家宝にさせていただきます笑


というわけでこちらにも掲載を。
持ち帰りは厳禁ですから気を付けてくださいね。

では続きからどうぞ!!

遠くから俺を見る横澤の目。


それはひどく寂しげで、
あいつにもう2度とあんな顔をさせないようにと
固く誓ったはずだったのに。



「横澤!」



俺の呼び掛けに、横澤ははっとした顔をして
一目散にその場を駆け出した。



***



今日はひよの学校の父親参観だった。


はじめの1時間は
子供たちの算数の授業風景。


先生に当てられて
きっちりと正解を答えるひよに自然と頬が緩む。


ぶんぶんとひよに手を向かって手を振ると
恥ずかしいからやめてよと、口の動きだけで伝えてくる。



つぎの時間は工作の時間。

写真立てを作るということで
親も参加してフレームをデザインしていく。

ちなみに、俺はひよに手を出さなくていいと
止められて眺めているだけだった。


出来上がったひよはこの写真立てに

『パパとひよと横澤のお兄ちゃんとソラちゃんの
 写真を飾ろうね。』と満面の笑みで告げてきた。

ならちょっとくらい俺に
手伝わせてくれてもよかったのに…




そして、最後は校庭で体育。


子供たちがやる可愛いサッカーを眺めた後、

特別に父親同士が、
サッカー対決をすることになった。


正直あまり身体を動かしたくはないが、
ひよにいいとことを見せるチャンスだと思い

俺はかなり頑張った。


おかげで前半だけでハットトリック達成。
ちらほらと来ていた母親たちの黄色い声援を受ける。



『桐嶋さんちのお父さんって素敵ね。』

『ほんとねぇ。でも奥さん亡くなってるらしいし
 男手1人で苦労なさってるのよ。』

『そうそう!それでいてあの一流出版社の
 丸川書店で編集長をお勤めになってるんでしょ?』

『まぁ…ほんとにすばらしい!』



ハーフタイムにそんな声が聞こえてきて、
ひよが自慢げな顔で笑っている。



「みんなパパの事褒めてるね。」

「そうだな。でもパパはひよが褒めてくれるのが
 一番嬉しいんだけどなぁ?」

「んー、じゃあ後半もがんばったら
 たくさん褒めてあげるね!」

「よーし、じゃあパパがんばるぞー!」



ひよに褒めてもらえるというご褒美をぶら下げられて
後半、俺はますますの活躍を見せた。




「桐嶋さん!すごかったです!」

「ほんとに!プロのサッカー選手みたいでしたわ!」

「うちの主人なんてまぁ、情けない事。」



しかし、試合終了後。
ひよより先に押し寄せてきたのは同級生の母親達だった。


「ありがとうございます。」


咄嗟に営業スマイルを浮かべて
言葉を返すと、もう奥様方はうっとりとした様子。


背後からは他の父親たちの
黒く淀んだ視線も突き刺さってくるし

どうしたもんか。



けれど不意に、それ以外の視線を感じた。
覚えのある、けれど少し違う感覚。



あたりを見回して、その正体に気付いた。



スーツ姿の男。
おそらく外回りだったのだろう。


その男の瞳には、奥様方に囲まれた俺の姿。



遠くから俺を見る目。


それはひどく寂しげで、
あいつにもう2度とあんな顔をさせないようにと
固く誓ったはずだったのに。



「横澤!」



俺の呼び掛けに、横澤ははっとした顔をして
一目散にその場を駆け出した。





「え?横澤のお兄ちゃんがいたの?」


俺の声に反応したひよが慌てて
きょろきょろと横澤の姿を探すが

あいつはもう消え去った後だった。



「…あのバカ、また変なこと考えてなきゃいいが。」



本音を言えば今すぐ追いかけたいが
父親参観を放り出すわけにもいかず、

俺はそれからしばらく悶々とした時間を過ごすことになった。



そして嫌な予想ほど当たるもので…




『今日は家で泊まる。ソラ太を頼む。』



父親参観が終わって、
すぐに連絡しようとした俺の携帯には
短い一文が届いていた。



「ったく…」



頭をガシガシと掻いて、ため息をつく。

あいつの性格上、
無理に戻って来いと言っても戻らないだろう。


ならこっちから行くしかないか。




***



「なっ、なんで…」

「そりゃお前が拗ねてひきこもるから
 引っ張り出しに来たに決まってんだろ。」


案の定、玄関から出てきた横澤は
俺の顔を見て目を見開いていた。



「べ、別に俺は拗ねてない!たまたま今日は…
 こっちに帰りたい気分だっただけで…」

「ふーん。なら俺がこっちにいるのは
 構わないんだよな?」

「は!?」


眉間にシワを寄せる横澤を無視して、
俺は勝手知ったる横澤宅へと入り込んだ。



「おい待てよ!ひよやソラ太は!?」

「今日の父親参観の事をおばあちゃんにも
 話すんだってさ。」

「っ…」


これで俺がここに泊まる事の反論は出来ないはず。



「で、なんで逃げた?」


なんとなく理由はわかっているけれど
あえて言葉にするように仕向ける。

こうやって1つ1つ刻み込まないと
どうせお前はまた不安になるんだろうから。



「に、逃げてねぇよ!」

「何言ってる。俺が呼んだ瞬間駆け出したくせに。」


「そ、それは…学校を覗いてる不審者扱いとか
 されたくなかっただけだ。」


確かに。それは一理ある。
って納得してる場合じゃなかった。



「それだけか?」

「っ…」



「横澤。」

「…だぁーもう!うっせえな!」



特にうるさくしたつもりはないが、
横澤は盛大にブチ切れて、その勢いで叫んだ。


「別にあんたが女どもと話してようが
 なにをしてようが俺には関係ねぇ!!」

「やっぱりか。」



まぁ、十中八九嫉妬だとは思ったが…
ただ、あの瞳はただの嫉妬じゃなかった。

諦めとか悲しみとか、
どっちかというとそっちの類のものだった気がする。



「お前、やっぱり俺の隣に並ぶのは
 女の方がふさわしいんじゃないかとか思ったんじゃねーの?」

「!?」



俺の一言に横澤は身体を思いっきり後ろに引いた。


きっと横澤は母親たちと並ぶ俺を見て
その姿が自然だとか感じてしまったんだろう。


だからあんな目をしていたのだ。



「くだらん心配を…」

「くだらなくねぇよ!」


やれやれと首を横に振っていると、
横澤が思い切り叫んだ。



「俺は…
 俺にとってはくだらないことなんかじゃねぇ。」

「横澤…お前…」



顔を真っ赤にして涙目で叫ぶ目の前の男。

図体はでかいし、いかついくせに
なんでこんなに可愛く見えてしまうのだろうか。



そっと手を伸ばして、
自分の腕の中へと抱き寄せる。



「ちょ、なにすんだ…離せっ!」

「いいか横澤。」



ぎゃあぎゃあと喚く横澤を黙らせるため、
一度その唇にキスをする。



「んっ…!?」



「はたから見て似合ってるとか自然とか
 そんなことは関係ない。
 俺はお前が好きで、お前も俺が好き。」

「なっ…」


「それで何を不安になることがある?」



じっと涙にぬれる瞳を見つめれば
照れくさそうに視線がさまよう。



「余計な心配する暇があんなら、
 もっと俺の事だけを考えてろよ。」



そういってどさりと床に押し倒せば
さまよっていた視線が強く俺を射抜く。

そして…



「っ…ただでさえあんたの事で頭いっぱいなのに
 これ以上どう考えろって言うんだよ!」



とそんな可愛いことを言い出す始末。


ほんと、暴れ熊なんて誰がつけたんだが、
こんなに可愛らしいテディベアに。



「そりゃ光栄だ。」

「茶化すな!」



俺の下でぎゃあぎゃあ喚いてるクマが
これ以上不安にならない様に、

今からは頭だけじゃなく
身体すべてに刻み付けてやる。



不自然でも間違っていても
俺が隣にいてほしいのはお前だけだと。





*END*

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リクエストありがとうございます

  • by おかのてる
  • 2012/07/11(Wed)22:02
  • Edit
Re: はるあさま
ついったでもご連絡しましたが、相互リクエストありがとうございました!!
トリチア、頑張って書かせていただきますね♪
おかのんちでもトリチアは結構人気なジャンルなので、頑張れそうです!!

はるあさまからいただいた桐横は家宝として輝いております(笑)
素敵な桐横ほんとうにありがとうございました★*゜




おかのてる

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