「ロイ!!こんな所にアルバムー!!」
俺は只今絶賛ロイ宅大掃除中。
昨日久々にロイの家に行ったら、なんとゴミ屋敷と化していた。
雪崩に巻き込まれたりしたら流石にマズいと思った俺は、次の日、休日を利用してロイの家を掃除することにした。
そして今に至る。
「ん~…!!そ、それは見るなハボック!!」
ロイの慌て方からして、何か見せたくない写真があるのだろう。
となると見たくなるのが普通でしょ??
俺は身長差を利用して、ロイからアルバムを回収されないようにし、中を開いた。
写真からして、士官学校時代のものだということがわかった。
特にこれといって珍しい写真はなく、残念に思っていた矢先。
一枚の写真が最後のページに裏返しで入っていた。
ニヤニヤしながらそれを見るとそこには……
「ロイ…!!ちょー可愛い!!!!」
そこにはロイの女装姿が写っていた。
見られてしまったので諦めがついたのか、ロイは、この写真のことを話してくれた。
ヒューズさんとロイが、あるときの成績でどちらが1位を取るかを競っていた。
そこで、ただ競うのも楽しくないってことで、負けた方が女装する…というペナルティーがついた。
そこでなんとロイは1点差で若き日のヒューズ准将に負けたらしい。
「たまたま私が苦手な分野ばかりの試験だったからな…。」
そこまで話して、ロイは遠い目をした。
…多分、ヒューズ准将のことを思い出しているのだろう。
こんなとき、俺はロイには何もしてやれない。
そんな自分に嫌気がさし、気がつけばロイを抱き締めていた。
「は、ハボック……??」
ロイは驚いたように腕の中から顔をあげ、俺を見上げた。
「すいません…。その、うまくは言えないんですけど、ロイの思い出が少しでも楽しいものになるように…寂しいものにならないように、俺、頑張るから。」
そうロイに伝えると、ロイははにかむように微笑み、俺の胸に顔を押し付けた。
「言ったな…この駄犬。…言ったからには実行してもらうぞ。」
「Yes, Sir. 喜んで。」
[1回]
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