「トンベリ、主の最期の頼みだ、聞いてくれるか------??」
息も絶え絶えに、元朱雀四天王「氷剣の死神」-----クラサメ・スサヤは従者のトンベリに小さな封筒を託したのだった。
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秘匿大軍神召還の一件後、朱雀トンベリから武装研主任のカヅサのもとへ、一通の封筒が届いた。
「…クラサメ・スサヤ……。…!!『氷剣の死神』から…?!」
カヅサは心底驚いた。
かつて、自分が候補生だった時代、同期には「朱雀四天王」と呼ばれる候補生内で最強な存在がいた。
その一方、カヅサは候補生の中でも、前線とは程遠い組に所属していたので、そんな存在と関わることはまずない…と思っていた。
しかし最近、自分の研究室や自室に、朱雀四天王の中で最後まで生き残ったという人物----氷剣の死神----クラサメ・スサヤと交友関係にあったのか、
彼との写真がいたるところに飾ってあることに気がついたのだ。
(朱雀の歴史書には、クラサメ・スサヤはこの間の秘匿大軍神召還の一件で死んだ…とされていたけど…。その彼から手紙…ということは、死ぬ前に書いたってことか。)
もしかしたら興味深いことが書かれているかもしれないと思ったカヅサは、
研究を一時中断して、クラサメの手紙を読みことにした。
すると封筒からは、傷だらけのCOMMとクラサメの字で書かれているであろう便箋が1枚入っていた。
まずは…と、カヅサは便箋の方を手に取った。
『カヅサへ
これを読んでいるということは、お前はクリスタルの力で私----いや、俺の記憶をなくしているのだろうな。
お前との約束----「どんなに傷ついても、生きて帰る」----は果たせなかったな。
すまない。
でも、もしこの罪深い俺に、来世を与えられたら…
今度こそ最期まで、カヅサ、お前と共に在りたい。
…お前はそれを許してくれるだろうか。
許してくれると嬉しい。
最後に、
カヅサ、こんな俺の傍に…隣にいつもいてくれてありがとう。
愛している。
願わくば、来世も俺と共にいてほしい。
追伸
同封したCOMMは、お前と俺で過ごした最後の日、二人で撮ったビデオが記録されている俺のCOMMだ。
俺とお前から、「今」のお前へのメッセージだ。
時間があるときにでも、一度この中のメッセージを見てくれ。
クラサメ・スサヤ』
便箋を読み終えた時点で、なぜかカヅサは涙腺が崩壊したように静かに泣き続けていた。
少し落ち着いたところで、COMMを取り出し、PCに繋いだ。
フォルダを開けると、「カヅサへ」というタイトルのファイルだけが入っていた。
それをカヅサは静かに再生した。
to be continued...
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