「は、ハボックさんが…店長を撃った…?!」
通信機越しで状況把握に務めていたフュリーが唸るように言った。
そう。
あんなに人懐っこく、何よりロイ・マスタングに従順な犬だったハボックは、再びキリングマシン・冷犬へとなってしまったのだ。
「失敗作だが、まだコントロールは出来るようだな…冷犬よ。」
お父様------ホムンクルスは満足げにハボックを手招きし、ハボックは一瞬でホムンクルスの横へと移動した。
「は、ハボック…。…くっ。」
ロイは冷や汗をかきながらも、状況整理を頭で必死に行っていた。
そう、ロイは撃たれてはいたものの、急所は外されていた。
真にハボックがホムンクルスの犬となっているのなら、このようなミスは発生しないはずである。
(ハボック…お前はまだ「生きている」のだな。)
「親子二代に渡っても、私にはたどり着けないようだな…マスタングよ。」
「えっ…二代、だと…??」
「そうだ。お前の父も、この冷犬をまともな人間に戻れると信じ、『救い出す』とほざき、私の前に立ちはだかったのだ。…結果は言うまでもないが。」
ロイは驚いた。
自分の父も、ハボックに出会い、ハボックを救おうとしていたのだ。
「なら、ば…私は父を越えなければ、な…。」
ふっとロイは笑い、立ち上がった。
「ただの錬金術師に何が出来る。死にたくなければここから立ち去れ。」
「それはこちらの台詞だ!!…ハボック!!!!!!戻ってこいっ!!!!」
そうロイが叫ぶと、ロイは時間稼ぎで爆発をおこし、辺りを爆煙で覆った。
少しして、ロイの唇が誰かに一瞬塞がれた。
「…遅いぞ馬鹿犬。」
「へへっ…すんません…ちょっと時間かかっちゃいました…。それよりロイ。この爆煙で俺がもう一度あいつに近づいて隙を見て押さえますから、俺ごと焼いちゃってください。」
「そ、そんなこと……!!」
ロイは一気に動揺した。
無理もない。いきなり人を焼けと言ってくるなど、誰が想像しようか。
しかしそんな動揺もハボックは気にせず先の説明を続けた。
「大丈夫だから、ロイ。俺ごと焼いて。」
そう言い、ハボックはロイに微笑んだ。
ロイも、ハボックを焼いても何とかなるという確証がないというわけではなかった。
to be continued...
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