約束の日の直後、ロイは准将に昇格した。そのあと中央に留まり、イシュバール復興に尽力を注いだロイは少将にトントン拍子で昇格し、部下たちも一緒に昇格した。
そして、ようやく古巣である東方司令部の総司令官として戻ったロイ・マスタング少将を待ち構えていたのは、相も変わらず、テロリストの暴動だった。
「少将、いささか人質が多いようです…。盗聴したところ、ざっと200はいるのではないかと…。」
「わかった、フュリー准尉。引き続き盗聴を頼む。ブレダ大尉、ファルマンが昔書いてくれた地図を。」
「えぇっと…これです…「紅い蛇」が立てこもっているとこの地図は。」
歩く辞書と呼ばれたファルマンお手製の地図。きっちり細かな道や、排水溝などの位置まで記載されている。
それをじっくり眺めながら、ブレダ大尉と作戦を立てるロイ。
しかし、どうしても今の部下の数ではうまく最小限の影響で抑えられない…と悩む。
すると、佐官になっても実動部隊の先陣を切る役目を担い続けているホークアイ少佐から、東方司令部へ連絡が入った。
「少将、テロリストの中に錬金術師がいる模様です。…しかも少なくとも2人はいるかと。バリケードを強化するために発動された錬成光が2つあがっていました。」
「わかった。今ブレダ大尉と作戦を立てている。もう少し様子を見ていてくれたまえ。」
「はい。」
大佐時代のロイならば、錬金術師がいたという情報だけでもすぐさま先陣を切って敵陣に乗り込んでいた。
しかし今は現状が違いすぎる。もちろん、もう少将という地位にまで上り詰めているから…ということもあるが、何より、あの時と違うのは………。
「くそっ……ハボックがいたら…。」
一番の肉体労働派であり、ロイの護衛兼恋人-----------ハボックがいないことだった。
「確かにハボの野郎がいたらこの作戦で、最小限の影響で人質を逃がしつつテロリスト共を捕まえられそうですが…あいつは……。」
「わかっている。」
ハボックは足を治せたは良かったが、やはりブランクにより足の筋力が衰えており、日常生活に問題はなくとも、復軍は無理であろうとされていた。
「仕方がないな…。少佐に指示を出しつつ単独1班で作戦行動をさせるか…。」
「それしかないですね…。」
東方司令部復帰1発目からあまり良くない作戦で納得はいかなかったが、仕方がないな…とロイは自分を納得させようとしていた。
その時。奇跡はおこった。
「少将!!ホークアイ少佐から連絡です。」
「つなげ。………少佐、何か動きがあったのかね??」
「そらぁーオオアリっすよ、た・い・さv」
声の主は少佐ではなく
「は、ハボック?!!」
「は、ハボ??!!」
[4回]
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