…遡ること増田組襲撃前。
ロイがハボックの過去について話した頃に遡る。
「ロイ、実は俺も自分のこと、だいぶ前から調べていたんだ。…そんでロイがさっき言っていたことは、俺も探し当てていた。」
ロイはその先を促すように、黙ってハボックの話を聞くことに徹した。
「そしてもう一つわかったことがある。…俺は死なないホムンクルスの『試作品』だってこと。」
ハボックが伝えた情報については、流石のロイでも驚いた。
初めてホムンクルスと出会ってから、彼等のことを調べていたロイは、一度も「ハボック」という名前には出会っていなかった。
「コードネームは『J.H.cold.dog』。ここから多分俺の名前と通り名が出来たんだろうね。」
あまりにもハボックが淡々とロイに衝撃的真実を話すものなので、ロイはただただ驚いていたが、漸く冷静さを取り戻してきた。
「さっき、『試作品』と言ったな。…確かにお前は怪我に強いが、死なないわけではなさそうだな。」
「うん。再生能力はホムンクルスに近いだけで、死なないわけじゃない。年もとるしね。」
「…となると、ホムンクルスの原点を叩いたらお前は…。」
「死ぬかもしれない。でも、俺はロイの力を信じるよ。」
「ジャン…。」
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ロイは迷っていた。
ハボックの生存のため、ロイの癒やしの力を使えば何とかなる可能性は高い。
しかし、他のホムンクルスと同じように、親玉のホムンクルスを倒したら…ハボックも失うのではないかと。
「ロイ、時間がない。とりあえず俺は行くから。」
そうロイにハボックは言い残して、爆煙の中へ消えていった。
(やるしか…ないな。)
ロイは爆煙が晴れ、ホムンクルスを目視できたところで、最上級の「焔」を放った。
「ギャァー!!!!!こ、この出来損ないがぁぁぁあ!!!!!は、離れろ!!!!」
「もう還ろう、元のあるべきところへ!!!!!」
ハボックは、自分が丸焦げでも、ホムンクルスを離さなかった。
それにより、ホムンクルスたちは、泣き叫びながらどんどん消えていった。
「ホムンクルスもまた人間。それを道具のように扱った罰だ…。」
何度目かの「焔」で、完全に敵を滅したロイは、体が半分焼けて黒こげのハボックの方へと走った。
「ジャン!!!!!!!」
ハボックはロイの呼びかけには応えなかった。
「待ってろ…今呼び戻す。」
急いでロイは青い焔…「癒やし」の焔を強く錬成し、ハボックに口づけをした。
するとロイは、真っ白な空間へと飛ばされた。
to be continued...
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