…一瞬、状況判断が遅れた。
猿は…何を……した??
俺の何が欲しいって…??
頭の中で思考回路がショートするくらい勢いよく悟空の言動について考え、何とか悟空の口づけから離れることをした。
「お、お前……何を…。」
先程まであれだけ頭で色々考えていたくせに、情けないくらいの台詞。
しかし、それにも動揺せず、悟空はしっかりと俺を見据えた。
「俺、三蔵のこと、好きなんだ。」
「好かれているのはわかるが…お前の『好き』は…。」
「そう、俺の『好き』は『愛している』の『好き』なんだ。」
未だ動揺せずにそう伝えてくる悟空に、俺が逆に怯んだ。
…さっき悟空にキスをされたとき、俺は嫌悪感を抱いたか??
いや、抱かなかった。
むしろ一生懸命にキスをしている悟空を、可愛いとさえ思った。
…と言うことは、だ。
(俺は悟空のことを…『好意の好き』と感じているのかもしれない)
…結論は出た。
だが、なかなか一歩が踏み出せなかった。
「……。」
「さん、ぞう…??」
心配そうに俺の顔を覗き込む悟空。
…そんな心配そうな顔をするな。
「さっきのが嫌だったわけじゃねぇからそんな顔をするな。…ただ俺は…人に好かれるのも好くのもよくわからない。」
気がついたら、早々言わない本音を悟空に伝えていた。
…そう。俺は師匠から人に好かれるってことを教わったがよくわからなかったし、「好く」のはわからなかった。
元々捨て子だった…からかもしれないが。
「俺が教える!!…って、俺もよくわからねぇから、一緒にわかっていこう!!…手始めに、さ、…三蔵…手、繋いでいい??」
そんな可愛いことを言うものだから、思わず少し笑ってしまった。
「しょうがねぇから、付き合ってやるよ。」
こうして、俺と悟空のおかしな関係が始まった。
the END...?
[2回]
PR
COMMENT