「天篷~生きてるかぁー。」
任務完了から数日後。
いつものように天篷の元へ倦簾はやってきた。
あいも変わらない汚さの部屋に、倦簾はウンザリしたが、いつものこと。
とりあえずは部屋の主を捜すことにした。
部屋を一つ一つ回ると、書物庫化している一室で、物凄い勢いで物をひっくり返している天篷を見つけた。
「天篷…お前何やってるの…。片付けるの、俺なんだけど。」
倦簾の嘆きの言葉にも振り向かず、尚も何かを捜索している天篷。
こうなると、倦簾の言葉は何も届かないので、
倦簾は近くの椅子に腰掛け、天篷が止まるのを待った。
「あったぁー!!…あ、倦簾、来ていたんですね、ちょうど良かった。」
「『来ていたんですね、ちょうど良かった』じゃねぇだろ…全く。で、何探してたんだよ。」
嬉しそうに天篷が差し出してきたのは下界の酒瓶だった。
「おま、それ、泡盛じゃねぇか!!」
「はい。倦簾の誕生日にあげようと思っていたものなんです。ですから、これは倦簾に。」
「おう、ありがとさん。にしても、何でいきなりそんなの思い出したんだ??」
天篷は、「うーん…」と考えるポーズをして少し考えてから答えた。
「そりゃあ、大好きな人がこの世界に生を受けた日ですからね…きちんと感謝の意を示すべきかと。」
なーんて、天篷が珍しく照れながら答えるものだから、俺はしっかりとか『感謝の意』を込めてあいつを抱き締めてやった。
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