昔々、あるところに、一人の陰陽師がおりました。
彼の名前はろい・増田。
彼の力は京都イチで、度々この土地、京都で起こる奇怪事件を解決しておりました。
しかし、最近はその奇怪事件がぱったりと止んでおりました。
「えど、ある。どうだ、事件が止まっている理由はわかったか。」
ろいは最近の京都の様子を異変に感じ、
式神のえるりっく兄弟に調査を頼んでいたのです。
「あまり動揺するなよ、ろい。」
「あぁ。早く報告しろ。」
「わかった。…あのね、ろいさん。
多分最近妖怪が静かなのは…『はぼっく』さんが噛んでいるみたいなんです。」
「!!!!」
はぼっく-------本名『じゃん・はぼっく』は、京都守護妖怪筆頭の狐神です。
ちょうど2年前、ろいとはぼっくは初めて出会い、一時共に暮らしたほどの仲でした。
しかし、ろいたちが関東の大妖怪、ぐらまんに襲われて以来、
ろいの前から姿を消したのです。
「はぼっくがどう絡んでいるんだ、えど、ある。」
ろいはえどとあるに説明を急かしました。
「あいつの縄張りで何かしでかすと、あいつがその妖怪を喰っちまうらしいんだ。」
「ろいさんもわかるとは思うけど、妖怪が妖怪を食べるのは禁忌。
だけど、はぼっくさんともなると、多分禁忌の理由の、
妖力反発の力を抑え込めるんだと思うんだ。
だからはぼっくさんにはまだ暴走が起こっていない。」
「そんで、小物妖怪たちはこぞって怯えて悪さも出来ないってわけ。」
あるが述べたように、
妖怪を妖怪が食べると、妖力同士が反発し、抑え込めなくなり、
妖怪本人が錯乱状態に陥ってしまうのです。
しかし、大妖怪ともあれば、格下の妖力に対抗することは可能。
従って、はぼっくは暴走していない、ということでした。
「…えど、ある。」
「なんだ、ろい。」
「えどは、はぼっくが喰らった妖怪をリストアップしろ。あるは、ぶれだを探してきてくれ。」
「はぼっくさんと一緒にいた妖怪さん??」
「あぁ。見つけたらこちらに連れてきてくれ。」
「「あいわかった!!」」
ろいは、そう簡単に、はぼっくが妖怪を喰らっているというのを信じたくありませんでした。
しかし、嫌でも最近、はぼっくの横暴な噂を耳にはしていたので、
ろいは、これを機にはぼっくとのことに蹴りをつけようと思ったのでした。
…最悪、はぼっくを滅することも決意して。
to be continued....
[1回]
PR
COMMENT