Side:5
クソ坊主に呼ばれた俺は、あいつが待つ部屋の前にいた。
(…なんだってんだよ……。何で猿じゃなくて俺を先に呼ぶ??)
俺は呼ばれた理由がわからないまま、奴が待つ部屋の戸を叩いた。
「開いているぞクソ河童。」
いつものような減らず口をたたく奴の声に従い、扉を開けて中に入る。
クソ坊主は寝床の布団から体を起こしただけの状態でこちらを見ていた。
「最高腐れ坊主もそのザマじゃあ、締りがねぇな。」
「うるせぇ。用もなくお前ごときをこの部屋に呼んだりはしねぇ。」
そう吠えている三蔵ではあったが、やはり体調は芳しくはないらしい。
「それじゃ、用をさっさと済ませるか。なんだって俺をここに呼びつけた。頭を使う相談は八戒が担当だろ。」
「あぁ。……お前、最近八戒といて、だるくなったりとかしていないか??」
「はっ??」
突然神妙な顔つきで何を言うかと思えば、俺の体調を聞き出した。
(…明日はここに槍でも降るのか??)
…そういう冗談はさておき、確かに時々立ちくらむときがある。
まぁ、大抵夜に遊び歩きすぎた…てのが原因だろうと思っていたのだが。
「時々…はあるが、それが何なんだよ。」
それを聞いた三蔵は、少し考えるポーズを取り始めた。
(何かあるなら早く言えよな、クソ坊主。)
俺はその間、何もすることがないわけなので、煙草を一本出して火をつけ、ゆっくりと煙をはき出した。
煙草が半分灰となって消え失せた頃、ようやくクソ坊主が口を開いた。
「悟浄、よく聞け。…俺たちはこのままだと、悟空や八戒と共にはいられなくなる。」
そしてようやく口を開いたと思えば、信じられないようなセリフを吐きやがった。
「なんでそうなるんだよクソ坊主。今ならまだ怒らねぇからちゃんと説明しろ。」
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