「ぶれださんからお話は聞いてきました、ろいさん。」
「流石にあいつは話の解るやつだな。報告を。」
そして、あるは淡々とぶれだから聞いたことを伝え始めました。
妖怪を喰らっているのははぼっくではないこと。
はぼっくは、妖怪を喰らっている真犯人と対峙するため、
妖力を無理矢理高めていること。
そして対峙する日が近いこと。
「はぼっくさん、禁術で妖力を上げているらしいですよ。」
「狐神が使える『狐霊拾い』で
死んだ妖怪の魂に宿る特殊な妖力を集めているのだろうな…。
あれを使いすぎると命を削るとの噂だ…。
現にはぼっくの先祖は皆、若くしてその禁術で妖怪を…この京都を救っている。」
はぼっくの一族は京都守護妖怪。
その中でも筆頭を任されているのは、その禁術があるからでした。
(はぼっくのやつ…術を使って死ぬつもりだな…!!)
「ある。えどを呼べ。情報収集はもういい。少し手の掛かる呪式を組み上げる。」
「わかりました。すぐ兄さんを呼んできますね。」
そう言って、あるは急いで兄の元へと向かいました。
えどが戻るまでに、ろいはひゆうずの元を訪ねました。
「ろい、お前から訪ねてくるなんて珍しいな。
…ま、訪ねてくるときは大抵厄介事付きだが…。」
「すまん。今回もだ。少し薬草を分けてくれ。…用意してほしい薬草の一覧表がこれだ。」
淡々と要求を述べるろいに対して、ひゆうずは眉を寄せました。
「これ…『あれ』をやるのか、ろい!!あれは一度…。」
「わかっている。でもやらなくてはならないんだ。
…もう二度と誰も失いたくない。」
ろいの強いまなざしに、ひゆうずは問いました。
「もしかして…わんころのためか??」
その返答として、ろいは縦に首を振りました。
「そうか…。それならお前は折れねぇな…。了解だ。明日の朝一までには揃えておく。」
「面倒をかけるな、ひゆうず。」
「親友の頼みだ、任せろよ。…その代わり、必ずわんころと一緒に戻ってこい。」
「あいわかった。必ず。」
こうして、ろいもまた、はぼっくが対峙する日に備え、準備を整えていったのでした。
後編へ続く。。。。
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