side:3
悟浄の最近の体調を(不本意ながら)聞いたことで、今回俺が倒れた原因の推測がかなり「事実」となった。
確かに少し前、俺たちは桃源郷での異変を止め、妖怪の暴走を鎮めることが出来た。
しかし、特殊な体である悟空、八戒に対しても同様に影響が止まったかと言えば、それは絶対的に「是」とは言い難い状況だった、ということを、俺は忘れていたのだ。
現に、悟空と八戒の妖力は少しずつ上がっていて、半妖のクソ河童や、強い法力をもつ俺でさえも耐え切れなくなるほどになっているわけだ。
このまま2人の妖力が上がるのであれば、俺たちは自分たちの力で対抗することも出来なくなるだろう。
無論、2人も暴走する可能性が高くなる。
この考えをそのままクソ河童に伝えると、奴は煙草の火を消し、小窓から遠くの空を見上げた。
「妖力制御装置でももう抑えきれないのか??」
クソ河童の考えはごもっともだ。
現に今まで2人の妖力は、最高僧である俺の法力を用いて作られている妖力制御装置で抑えてある。
「今以上の装置を付けたら、あいつらの妖力の反発が活性化されて、逆に暴走しかねない。」
あいつらの妖力が元々規格外。
だからこそ、ギリギリ人間界に影響しない程度の妖力に抑えるレベルの装置しか作れないのが現状だ。加えて暴走しないよう、抑えられる妖力がほかの妖怪より小さい。
それ以上抑え込もうとすれば、それだけ妖力も外へ出ようとするエネルギーが強くなり、今度は奴らの体が耐え切れない可能性が高い。
「猿のやつなんて、やっと外に出られて…お前に助けられて…やっと幸せ、手に入れられそうになのによ…。」
「それは八戒も同じだろう。少なからずお前の存在のお蔭で、前へと進もうとしている。」
俺たちに出来ることはもう何もないのだろうか。
この時の俺とクソ河童は、互いに青い空を眺め、静かに涙を流すことしか出来なかった。
to be continued.....
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