side:8
数十分くらいして、悟浄が三蔵の部屋から出てきました。
悟浄は悟空に、「三蔵の傍にいてやれ」とだけ言い、その場を後にしていきました。
なんとなく話しかけてはいけないのかもしれない…と思った僕は、黙って悟浄から一歩下がって歩き、共に帰路につきました。
家に帰ると、珍しく悟浄が料理をしてくれました。
実はこの家に帰ってから、悟浄は時々僕に料理をしてくれます。
腕も少しばかりあがってきたので、最近は凝ったものに挑戦しているようでした。
「へいお待ちっ。」
どうやら今日は麻婆豆腐と野菜炒めのようです。
雰囲気も少し和らいだ気がしたので、
僕は悟浄に気になることを聞いてみることにしました。
「あの…悟浄。三蔵と何をお話されたのですか…??」
悟浄はその言葉を聞いて、食べる手を止めました。
(やはり聞くのはまだ早かったのでしょうか…)
少ししかめ面をした悟浄は、話そうか悩んでいる様子でした。
「無理にとは言いません。話せるときで…「いや、今話すから。」」
こういう時の悟浄の決断の速さには、しばしば驚かされます。
(…僕にはこんな速さで物事を決断するようなこと、できませんからね…。)
「なーに考えてるの、八戒。」
「すみません、こっちの話です。続けてください。」
「あぁ。…要するに、俺と三蔵がヘタレてきたってこと。」
「もう少し具体的にわかりやすく…。」
「うーんとな……。」
珍しく悟浄が言葉を選びながら話しているのに気付いた僕は、お茶の準備をすることにしました。
悟浄にも言葉の整理の時間が必要ですし、ね。
「わりぃな、八戒。…そもそも俺が頭使って話そうとしたのがダメだったな。…俺らしく、ねぇ頭で話した方が良いな。」
「…ふふっ、やっといつもの悟浄らしくなりましたね。」
そう。
このたわいのないやりとりが出来る相手は、悟浄ひとり。
僕の大切な、大切なパートナー。
「お前らの妖力、暴走するかもしれねぇらしい。」
to be continued...
[1回]
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