『今度は俺が…お前に手を差し伸べるから-----------』
「-------!!かはっ……。」
ひどい…悲しい夢を見た気がする。
桃源郷の異変を食い止めた俺たちは、観世音菩薩から、「土産」として、ある情報を聞いた。
『お前らは…500年前からずっと…ずっと繋がっているんだよ。』
最初、この言葉の意味を俺は理解できなかった。八戒は元人間だし、クソ河童も半妖。まして俺は人間だから、そんなに生きながらえているわけがない。
そんなに生きているのは…そう、悟空だけ。
…その話を聞いてから、俺は夜な夜な同じ夢を見る。
悟空を…泣かせている夢。俺を『金蝉』と悟空が呼ぶ夢。
「三蔵…??大丈夫かぁ~??」
「あぁ…変な夢を見ただけだ。まだ寝てろ。」
「うん…お休みぃ~。」
この夢について、八戒やエロ河童に話したことがあった。
「三蔵もそんな夢を見ているのですね……実は僕も恥ずかしながら…怖い夢を最近見るんです。」
「俺も俺も…!!なんだろ…でも、最後は笑ってる夢。ちょーこええけど。」
八戒やエロ河童が見た夢と、俺が見た夢は少し違ったが、どうやら悟空に自分とは違う名前で自分のことを呼ばれる…という共通点があった。
「そういや、この夢見始めたの、あのエロ菩薩に変なこと聞いたときからだな……。」
『500年前から繋がっている』…そう奴は言っていた。もしかしたらその500年前に関係することなのだろうか…。
しかし、結局、八戒たちもこの夢についてはよくわかっていなかった。
「……何なんだ…この夢は…。」
「知りたいのか、唐亜玄奘三蔵。」
「!!!!」
いきなりあらわれ、話しかけてきたのはこの問題の発端を招いたのであろう観世音菩薩だった。
しかもやはり何か知っている様子。
「貴様はしょっちゅう下界に降りてきて良いものなのか??」
「そーんなこと言っちゃって…素直じゃないねぇ…チューした仲だろ??」
「コロサレタイか??(カチャ)」
「俺は殺せねぇっての。…それより、知りたいのか、夢の真相。」
「…知っているのか。」
「あぁ、もちろん。俺はカミサマだし??…だが、知りたかったら、『覚悟』が必要だ。お前だけでなく、猪八戒、沙悟浄の『覚悟』もな。もし3人の覚悟が出揃ったら、もっかいあらわれてやるから、それまでせいぜい相談しやがれ。」
そう言って、観世音菩薩はふっと眼の前から姿を消した。
あれから、悟空がいないところで悟浄、八戒と真相を聞くかを何度も話し合った。
俺たちに関係のある悟空の過去を知って、これからの俺たちにどう影響が出るのか…。
…しかし、何より俺は、あの夢の中で悟空を泣かせている理由を知りたかった。
「…どちらにせよ、真相を聞いたからって、僕たちの関係は変わらないと思うんです。」
「そうだな。いまさらどうこう…っていうわけじゃないしな、俺ら。」
俺たちが出した結論は……
「菩薩。真相を聞かせろ。あの夢は何だ。」
「いいぜ。…それじゃあ夢の中のやつらに直接会ってみな!!」
そう菩薩が言った時、俺たちのいる空間がゆがみ始め、そのゆがんだ空間に俺たちは吸い込まれていった。
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