Side:八戒&悟浄
「いててててて……」
ゆがんだ空間に吸い込まれた三蔵、八戒、俺。
どうやらそのあと気を失っていたらしい。
「……!!八戒!!おい、八戒、しっかりしやがれ!!」
「……んん。…ご、じょ、う…??」
どうやら八戒と俺は同じところに飛ばされたようだが、辺りに三蔵はいなかった。
「八戒、起きられるか……??」
「はい、大丈夫です…。それより、ここ、どこですかね…??」
「あの鬼畜カミサマは『直接会え』とかほざいてたが…どういう意味なんだろうな…。」
「…これは仮説ですが、僕たちが夢を見ていた時、同じ風景を見ていても僕ら一人一人視点が違っていましたよね??…その夢の中の自分が、この送りこまれた世界にいるとしたら…。」
「でもそれと500年前のこととはどう関係してくるんだ……??」
俺の出来の悪い脳みそでは到底理解出来ない状況で、俺は頭が痛くなってきていた。
「確か、悟空は500年前、天界にいたんですよね。」
「あぁ…そうだったな。」
「もし僕らの夢と500年前がほんとうに関係しているなら、ここは多分…天界かと。」
「まぢ??俺ら死んだのか??」
「…死んではいないと思いますが…例えば意識だけ飛ばされているとか。」
「うーん…どちらにせよ、ここのことを知るためにもちっと歩くか。」
よっこらせ、と俺と八戒が立ちあがったとき、ふっと背後から殺気を感じ、俺たちは同時に戦闘態勢に切り替え、振り返った。
「おぉっ?!!お前武器持ってるのかよ?!ちょ、あれ痛そうだけど、天蓬;」
「隣の人は…武道派ですかね、捲簾。」
振り向いた先には、軍服のような服を着た男二人がいた。
しかも、外見は俺らそっくりだった。
「あーら、よく見たら俺に似ててイケメンだな、お前。」
「こちらさんもなんとなーく僕らと似ていますね…黒髪な所とか??」
こいつら敵と向き合っているのに余裕をかましている。でもヒシヒシと伝わってくる殺気は変わらない。
流石ににらみ合いをし続けて、冷や汗がたらり、と垂れてきた。
「…僕たちはあなたたちと戦う気はありませんから、その殺気をしまってもらえませんか??」
「そうそう。俺らいきなり時空を超えてきちゃったみたいでさ。ここがどこだか知りたいだけなんだ。ついでに元の世界に戻れれば結果オーライ。」
いきなり出会ったやつらが「時空を超えてきた」なんてほざいたら信じるやつは普通いないし、まして殺気をしまってもらえる確証はどこにもなかった。
だけどあいつらはちょっと変わったやつらみたいだった…。だから一か八か、俺らは真実を話してこの場をおさめようとした。
「成る程…『時空を超えてきた』ねぇ……。おもしれぇやつらだなー。」
「一応金蝉のところへ彼らを連れて行って相談しましょうか。菩薩にも顔がきくわけですし、彼らの手がかりがつかめるかもしれません。」
「そうするかっ。悟空にもそろそろ逢いに行きたかったしな♪」
やつらの口から、俺たちも聞きなれた名前が出てきた。
『悟空』
これで俺たちは、この世界は悟空が幽閉される前にいた世界だと理解した。そう、つまりここは天界……。
そうと決まれば、俺たちの道は一つ。俺たちの知っているやつの元に行くしかない。
「おう!!連れてけ連れてけー。」
「すみません、お手数をおかけしますが宜しくお願いします。」
To be continued.
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