Side:悟浄
「捲れ~ん。」
「おっ、悟浄か。話はついたか??」
捲簾は悟空のひざ枕をして桜の木の下に座っていた。
どうやらキャッチボールに疲れて悟空が寝てしまったようである。
「まぁ隣座れや。」
そう促し、腰にぶら下げていた酒瓶から酒を注ぐ捲簾。
「万年桜かぁ…花見酒もわるかねぇな。」
そう言って捲簾が渡してきたお猪口を受け取り腰を下ろす悟浄。
万年桜は悟浄を迎え入れるかのようにそよそよとなびいた。
「悟空がな、お前と俺が兄弟みたいだってよ。…俺達初めて会ったのにな…。」
「へぇ…。でも俺がここまで来る時に見た感じじゃあ、あんたは性格は八戒似かと思ったけどなぁ~。」
「俺らの共通点は酒好きと女好きだけだもんなぁー。」
そう言って、たわいのない話をしては互いに笑い合う姿は、本当の兄弟のようだった。
酒も進んだ頃、悟浄は気になったことを捲簾に尋ねた。
「あんたさ、天蓬のこと好き…だろ。…あぁー上司として…じゃなくてな??」
「えっ??//…あぁ~まぁ、な。わかっちゃう??」
「そらぁ俺そーゆーの敏感だし??」
ちょっとの間で見抜かれたことに、頭を掻きながら照れる捲簾。
照れながらも、ふっと遠くを見つめた。
「あいつ…ほんとは心細いくせに意地っ張りでな…だらし無ぇし。でも俺はそんなあいつの世話してるの好きだし…な。護りたいと思うし。」
「へぇ……。」
「そういうお前も八戒好きだろ~。」
「流石…バレてた??(ケラケラ)八戒も変に頑張っちゃうとこがあるけど健気で可愛いんだぜ~♪」
「俺らやっぱ似てるな~(笑)」
「そうかも…なっ。」
ふと悟浄は考えた。夢の中で自分は「捲簾」と呼ばれていた。
実際会ってみて、どこか根底は似ている感覚があった。
(…俺の先祖…だったりしたらいいのになぁー)
「さぁーてと。そろそろ天蓬のところに戻らないとヤバそうだな…。」
どっこらせ、と悟空を抱きかかえ、立ち上がる捲簾。
それに続いて悟浄も立ち上がる。
「大変…てどういうこと??」
「本で埋まって出られなくなってそうってこと。」
ふふっと微笑みながら、悟空を運ぶため部屋まで2人で行き、その足で天蓬の部屋へと歩きはじめた。
to be continued.
[2回]
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