Side:H
俺はいつものごとく、仲間たちと仕事に就いて、日勤を終え、久々に夜ゆっくりと過ごそうと思いながら帰り支度をしていた。
そこに、同期で親友なブレダがやってきた。
「おいハボ…またフラれたんだって??」
「傷を抉るな…ブレダ。もう済んだ話だよ……。」
いつものように傷心な俺を気遣ってくれる親友。
しかし、今回ばかりはちょいと違ったんだ。
「しゃーねーなぁ…。そんじゃこれ見てみろ。」
そう言ってブレダが差しだしてきたのは、とある情報雑誌。雑誌名は「say LOVE」。
いかにもうさんくさい恋愛連載雑誌のようなタイトルだ…。
「ここに今人気の女が載っててな…。ここだここ!!お前ごのみのボインの子だぜ!!今お見合い募集してるんだ、この子。」
どうやらこの雑誌はお見合い情報雑誌だったらしい。
何々…黒髪の女の子か…大佐みたいな綺麗な髪……。
「ローズ・クリスマスって名前の子なんだけどよ…まじでかわいいぜ、この子。ワの国出身でアメストリスとワの国のハーフ黒髪美人。」
黒髪……大佐と同じ黒髪の女か…。悪くない…。って、俺何考えてるんだ??!!
「たまにはこーゆー変わった感じの子と付き合ってみたらどうだ、ハボ。」
「あぁ…うん……。」
俺は心ここにあらずな返事をブレダに返してしまったので、この黒髪美人-------ローズさんと会うことになった。
SideR
「ローイ!!♪俺の願いを聞いてくれ~!!」
いつになくテンション高く現れた軍人-----ヒューズは、私の机にバンと手紙らしきものをたたきつけてきた。
「お前が学校時代に女装した写真でお見合い雑誌に彼氏募集って書いて投稿したんだよ~。そしたらよっ、見事に会いたいってやつが出てきたんだ!!」
フフン、と自慢げに語る親友に、ツッコミどころ満載な前情報を伝えられ、げんなりとなった。
「それは良かったな。だがヒューズ。私の写真を勝手に使うな、私は女じゃない、会う気もない、断れ。以上だ。さっさと中央に戻りたまえよ、ヒューズ中佐。」
一気にツッコミ、出ていく命まで言い放った。
…しかし流石はヒューズ。一筋縄では引かない。
「それがよ、相手が「ハボ公」なんだよ、ロイ。」
「ハボ公」………
「は、ハボックだと?!!!」
「そう、あのわんころ。…お前、あいつのこと好きだろ??」
くつくつと笑いながら嫌な顔をして私を見るヒューズ。
…確かに、私はハボックに対し、部下として以上の気持ちをもっている。
あれやこれやと好意を気づいてもらえるように手を尽くした(天下のロイ・マスタングが、だ!!)のだが、全く気づかないしいつものダラリとした笑みは変わらないし。
もう諦めようとも思っていた。
「天下の女たらしなロイ・マスタングが振り向かせられないターゲットの心を探る良いチャンスじゃねぇか。…行ってこいよ、ロイ。」
うまくのせられている感じもしたが、ハボックの心を知るまたとないチャンスを逃すわけにもいかず、気がついたら私は、縦に首を振っていた。
「小道具はそっちで揃えるのだろうな、ヒューズ。」
to be continued.
[2回]
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