Side:H
ローズさんの第一印象は「大佐を女装させた感じ」。写真を見たときも思ったんだけど、まじでそんな感じだった。
しかも俺好みな清楚系…。
確かに文句なしな美人だが…俺はどうしてだか、ローズさんが大佐に見えて仕方がなかった。
…俺の好きな大佐に。
ぼーっとそんなことを考えていたら、ローズさんに話し掛けられた。
「今日はどうしましょう。」
危うくローズさんを無視してトリップするところだった。
「そうっすね…そういや映画が好きだって手紙に書いていましたよね。ちょうど公開されたばかりの映画があるんで、良かったら見に行きませんか??」
一応今日のプランは頭の中で何パターンか練っていたから、とりあえず映画を提案した。
ロゼさんは顔を真っ赤にしながら、こくんと頷いてくれた。
「それじゃあさっそく、行きましょうか。」
俺はローズさんの手をとり、映画館へと歩きはじめた。
Side:R
映画の内容はあまり入ってこなかった。
ずっと隣にハボックがいることの方に気がいってしまっていたからだ。
映画がラブコメだったせいか、一緒に笑ったりもしていたが、雰囲気が良いシーンで、ハボックは私の手を無意識に握ってきたりしたので、気が気でなかった。
映画を見終えて、ハボックは近くの喫茶店へと私を連れていった。
このままでは何もハボックのことを知ることが出来ないまま1日を終えることになってしまう。ハボックのことをもっと知るためにも引き出さなくては…。
私は気を取り直して、ハボックのことを聞き出すことにした。
「ハボックさんは…映画はよく見に行かれるのですか??」
「あ~いやぁ…職業柄、そういう時間は殆どないんすよ~。だから今日ローズさんと映画久々に見れて楽しかったっす!!ま、アクション映画みたいなことはしょっちゅう仕事でやってますけど。」
ニッコリと微笑んで返答するハボックは、年相応以上のかっこ良さを出していた。
どうやったらこの笑顔を私だけのものにすることが出来るのだろうか…。
「お仕事…とても大変なのですね…。お忙しいところをみると、上司の方はとてもお厳しいそう…。」
「大佐は…そんなことはないっす!!」
焦るように軽く叫ぶハボック。
全力で私を厳しくないと言ってくれた。
少し嬉しいな…上司としては、だが。
「すいません…取り乱して。…仕事は…全然きつくないっす。いや、そりゃ端から見りゃきついかもしれないっす。だけど、あの人の命令なら俺は何でもします。俺はあの人のこと…信じてるから。」
どうやら私は上司としてかなりの信頼を得ているらしい。普段のあのタレ目フェイスからは全く感じられなかったが。
「その…大佐さんのこと、とても大事になさっているんですね。」
いやちょっと待てロイ・マスタング!!これはかなりハボックの私への想いの核心に触れることになるぞ!!
焦りながらも私は上目遣いでハボックを見つめた。
心臓は騒がしいくらい激しく鳴っている。もしかしたら、この音をハボックに聞かれているかもしれない。でもいい。この音と共に、少しでも私の想いが伝われば-------。
「…ローズさん。」
少し間をおいて、ハボックは神妙な顔をして私に話し掛けてきた。
「はい。」
私もその顔に吸い込まれるかの如く返事をする。
「俺、あなたに謝らなきゃいけないんです。」
to be continued.....
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