あるアパートの一室に、18歳の少年がいた。
彼の名は悟空。
彼は早くに親をなくし、親戚に引き取られたものの、忌み嫌われる「金目」を持った悟空の扱いはとてもひどいものだった。
どうしても家を出たかった悟空は、高校卒業と同時に、今まで貯めていたお金を叩き、一人暮らしを始めた。
しかし、アルバイトをいくら掛け持ちしても、貯えは減る一方。流石に生活も難しくなってきたのだった…。
「くっそぉ…。どうやっても今月乗り切れねぇよ…。なんか良い仕事ないかなぁ。」
悟空は狭い部屋でありったけのアルバイト情報誌をひろげていた。
片っ端から電話をかけていたが、どれもNG。
残りあと1つとなっていた。
「さて…これで最後か…。何々…ボディーガード募集??腕のたつやつ募集…か。まぁ…そこそこ体力はあるから…連絡してみっか。」
悟空は中高時代、あらゆるスポーツ系の部活を兼部していた。そこではいつもトップの能力を発揮し、プロも夢ではないと周りに言われていたが、悟空は特に興味もなく、趣味程度で止まっていた。
「うっし、かけてみよーっと。」
悟空は天を仰いで祈ったのち、雑誌に書いてある番号をおし、電話をかけることにした。
「あ~もしもし。ワタクシ、〇×情報誌のアルバイト募集を見て連絡させてもらっています、孫悟空と言いマス…。」
悟空は、慣れない敬語を懸命に使いながら印象を良くするために丁寧に出だしを話した。
「…肩書はどうでもいい。ひとつだけ聞く。…今お前に命はって守りたいのはあるか??」
電話ごしに聞こえた声はかなりドスのきいた声だったが、歳をあまり感じられなかった。
若いなら上手くやっていけるかな…と悟空は少し期待した。
しかし、電話の声が聞いてきた質問の趣旨はよくわからなかった。
とりあえず素直に答えようと悟空は思い、「俺まだ未成年だし、結婚もしてないんで、そういうのはないです。」と答えた。
「わかった。お前を本日付けで採用する。夜9時に雑誌に載っている住所に来い。」
そういって、電話の声の主は電話を切った。
「ま、まぢかよ。さ、採用なの?!!」
To be continued.
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