久々に宿がとれた三蔵一行。
部屋は2人で一部屋だったが、久々の柔らかいベッドでの睡眠に皆喜んでいた。
「三蔵。」
「なんだ、八戒。」
「僕と悟空で買い出しに行ってきますので、悟浄とお留守番お願いしますね。」
いつものように、旅の食料などを管理している八戒が買い出しに行くと三蔵に言った。
しかしいつもと違うのは、そのお供に、悟浄ではなく、悟空を選んだことであった。
「…喧嘩でもしたか。」
「はい??」
「いや、なんでもない。煙草も頼む。」
「わかりました。では行って参ります。」
「んじゃ行ってくるなー三蔵♪」
こうして八戒と悟空がいなくなり、部屋には悟浄と三蔵だけとなった。
「おい河童。」
「あん~??ナンデスカ、三蔵サマ。」
悟浄からは会話する気が全く感じられないが、三蔵は新聞を見つつ、会話を続けることにした。
「お前…八戒と喧嘩でもしたか??」
「はぁ??俺が愛する八戒を泣かせるわけがないデショ。ベッドではたくさん泣かせちゃうけどね~♪」
「聞いた俺が馬鹿だった。…だがなんで買い出しのお供がサルなんだ。」
途端に悟浄がクツクツと笑いだした。それに対して三蔵は、イライラが増し、新聞を閉じて悟浄に向き合った。
「フフフ…。三蔵サマ、愛するお猿ちゃんを取られてイライラしちゃったのね♪」
「…もういい。河童は人語を理解出来んようだな。」
結局互いにイライラしながら会話をするだけであったので、いつしか会話することすら諦めた2人は、黙って煙草をふかしていた。
「最近お姫サマのご機嫌はようござんすかー三蔵サマ??」
「貴様と違ってアイツは従順だからな。いつでも俺のいうことをきちんと聞くぞ。」
「あー…さいですか。それはわるうござんしたねー。…でもそういや最近八戒も優しいような…。」
悟浄は最近八戒が様々なこと-------ベッドの上の事情も含め----------に寛容である気がしてきた。…それは恐ろしいくらいに。
そう思うと、きっと裏に何かあるのではないか…と考え始めてしまった悟浄であった。
そうこうしているうちに、買い出しへ出かけた2人が帰ってきた。
そして、大きな袋を掲げて
「「Happy Birthday!!!!!!」」
…そう、彼らが最近優しかった理由は、彼らの愛しいヒトの誕生日が近づいていたからで。
愛しいヒトが生まれた日を大事にしたかったわけで。
「三蔵。生まれてきてくれて…俺を外に連れ出してくれて…有難う!!三蔵、だぁ~いすき!!」
「悟浄。生まれてきてくださり有難うございます。あの日、僕を拾ってくださって有難うございます。僕と出会ってくれて、僕の傍を離れないでいてくれて…有難う。」
「「お、お前ら……!!!!」」
こうして、誕生日の近い三蔵と悟浄は同時にお祝いをされ、同時にお互いにお返しをしてあげたのでしたとさ。
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