「俺は実家の寺で代々三蔵の記憶を継ぐ継承式を経たから、代々の三蔵の記憶がある。そして玄奘三蔵法師と共に旅をしていた孫悟空、沙悟浄、猪八戒もまた、この世に存在している。まずはこの3人を見つけ出さないといけない。そして見つけたのが悟空、お前だ。代々初代三蔵一行レベルの力を有して生れた者には、同じ名前が与えられるんだ。」
「そ、そうだったんだ…。でも、どうして俺たちが必要とされるの??」
「…それは代々俺「たち」は、桃源郷の封印術式を更新せねばいけないからだ。」
「ふういん??」
「あぁ。初代三蔵一行は、桃源郷に起きた異変を止めるべく旅をしていた。そして、その異変を止めるべく、孫悟空の斉天大聖による大地の力、沙悟浄の人間と妖怪の混血、猪八戒の人間から妖怪へと変貌したことにより作られた妖力、そして三蔵法師の法力を利用して、異変の元凶を封印したらしい。それを代々守るべく、同時に4人が生れ変わったときは、それを更新する使命が与えられているんだ…。」
悟空は、いっぺんに信じがたい情報を三蔵から聞いて、大混乱を起こしていた。
その様子を察知した三蔵は、ため息をついたあと、新しい煙草に火をつけて一呼吸したあと、さらに話し始めた。
「要するに、お前以外にもあと二人末裔を探し、急いで封印を更新しなくてはいけないんだ。だが、こうしている間にも、封印を更新させないよう、俺たちの命を狙ってくるやつらもいる。だからこそお前の力を解き放つため、使い魔の契約をして力を解いてやったんだ。」
「…それ、だけ??」
「…あぁ??」
「キス…したの、ほんとにそれだけ??」
悟空はにわかに信じがたかった。契約のためのキスなら、濃厚でなくてもよかったはずだと思ったのだ。
「…今回の末裔は鋭いようだな…。」
「えぇっ??」
「…お前の察しているとおりだ。俺はお前が好きだ。俺はお前のことを間接的だが知っていた。お前の信じる心…そのまっすぐな目に惚れたんだ……。だからお前のことは俺が守ってやる。俺のもんになれ、悟空。」
とても強引だが素直な気持ちの表現に、悟空もあっけらかんとしてしまった。
だが、悟空もまた、三蔵に惹かれていたのだ。
初めて会ったのに、そんな気持ちにはならず、もっと近くにいたいと思ったのだ。
そう考えると、悟空の答えはひとつだった。
「うん。ずっと三蔵のそばにいさせて。…それで、あと2人の目星はついてるの??」
「実は沙悟浄は捕まえてある。…そいつに猪八戒を探させている。」
「三蔵の方が察知しやすいんじゃないの??記憶あるんでしょ??」
「沙悟浄には記憶がある…。…それを除いたとしても、あの2人は「魂」で探せるんだ。」
このとき、悟空は三蔵の言っていることがよくわからなかったが、あとでしっくりくるのであった。
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