少しして、ブレダはハボックが待っているラーメン屋にあらわれた。
「わりぃ、遅くなった。…おっちゃん、いつものラーメンひとつ。あと熱燗も。」
「会議って、結構長いんだな。店の売り方の戦略とかか??」
ハボックは、あまり感づかれないよう、愛想の良い顔を作り出し、慎重に会議についてブレダから聞き出そうとしていた。
しかし、ブレダにはそれは通用しなかった。
「ふふ…あんま無理して気ぃ張りながら聞き出そうとすんなや…。冷犬ハボのときはそんなことやってなかったんだろ??不慣れなことは禁物だぜ…すぐボロが出る。」
「お、お前…俺が『冷犬』だって知っていたのか…??」
「当たり前だ。店長の命守れたくらいのやつなんて、そうそういねぇ。そこそこ裏でも通用している人間だと思ったからな…調べてはいたよ。そんで、お前はもしかして店長に惚れちゃったタチ??」
単調直入に自分の知りたいことを突き止められ、ハボックはブレダ相手に着飾る必要はないと思い、「冷犬」時のハボックの顔へと変わっていった。
「お前こそ、店長の…ロイ・マスタングのこと、どこまで知っているんだ…??教えろ。」
「おーおー。怖いねぇ…。ま、店長もお前のこと気に入っているみたいだからな…話しても良いだろ。うん、話してやるよ、ロイ・マスタングのほんとの顔、をな。」
そう言って、ブレダはラーメンを一気にすすり、咳払いをして、ロイ・マスタングの話をし始めた。
「正直言って、俺も店長のことを詳しく知っているわけじゃない。俺よりもリザさんの方が古株だから、彼女の方が色々細かいことは知っているだろう…。ま、でも、俺が持っている情報でお前の知りたいことは十分だろうな…。」
そこからブレダが語りだしたロイ・マスタング情報は、壮絶なものだった。
ロイ・マスタングは、父親が刑事、母親は専業主婦と、ごく一般家庭に生まれた子であった。
ある日、小学生だったロイ・マスタングが家へ帰ると、そこには両親が倒れていた。声をかけても反応しなくて、不思議に思ったが、ふと床を見たら血だらけであったらしい。
それに驚いたロイ・マスタングは朦朧としながら警察に連絡をしたりしたらしい。
しかしながら彼の両親を殺した犯人は見つからず、事件は迷宮入り扱いにされていった。
ロイ・マスタングは悔しくてたまらなかった。
両親は近所からも「おしどり夫婦」と言われるほど仲も良く、特に人間関係でトラブルを行うこともなかった。
そんな両親がなぜ殺されなければならなかったのか……。
大学生になったロイ・マスタングは、独自の方法で、犯人を捜すようになった。
そして、探していくうちに手に入った父親の警察手帳から出てきたメモ---------ウルボロスのマークをロイ・マスタングは手に入れた。
このマークは、世界的に有名な黒の組織、『ホムンクルス』のマークだった。
もしや、この組織と何かがって、自分の両親は殺されたのでは…と思い、その組織と接触するべく、この地…日本で自ら裏の組織を立ち上げ、『ホムンクルス』と対峙する準備にとりかかったのだった…。
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