「あっち!!…えっ…ほ、炎?!!」
ハボックはこの出来事で正気を取り戻し、ダークブルーの目の色は薄くなっていった。
「いい加減にしろ、ハボック!!お前はそんなに人を殺して…人の命を背負う必要はない!!そんなに酷い殺し方をして…心を…無駄にしないでくれ…。私は…お前の心に惚れているんだ。だから…心を失うようなことはやめてくれ、ハボック…。」
「すんません…店長…。俺…店長を苦しめるやつはみんな取り除きたくて…。」
そのとき、強い殺気が二人の近くにふっとあらわれた。
瞬時にハボックは予備の銃を構え、殺気の方へ撃ち、ロイに向かって投げられたナイフからロイを守るため、ロイを抱きしめた。
「あら…流石ね『冷犬』。でもナイフまでは避けられなかったようね。」
「お前は…『ホムンクルス』幹部のラスト!!」
「あら、私のこと、知っているのね…。会えて光栄よ…ロイ・マスタングさん。」
あらわれたのはスラリとした体型の女---------ラストだった。
「ここ、私の縄張りのひとつだったのよ…気に入っていたから、潰されちゃってガッカリ。まぁでも今日はお暇させていただくわ…『冷犬』に致命傷与えられたし。ではご機嫌よう。」
そう言ってラストは嵐のように去っていった。
ラストがいなくなったと同時に、ハボックはロイにどさりと寄り掛かった。
「ごめん、店長…ちょっとヤバいかも…ハハっ。」
「は、ハボック!!おい、死ぬな!!まだお前から返事をもらってない!!お前は…私のこと…。」
「言わなきゃわからない??ったくしょうがねぇな…。…愛していますよ、ロイ…。……っ!!やばっ、意識遠くなってきた…くそっ…せっかく両想いになれたのになぁ…。」
そうハボックは呟き、意識を飛ばした。
「は、ハボック!!!!くそ……死なせやしない……私が…私がお前を護る!!」
そうロイは強く言い放って、眠るハボックに口づけをし、先ほど焔を放ったやり方で、ハボックに向かって指を鳴らした。
しかしロイから放たれた焔は、青い焔で、ハボックを優しく包み込むものであった。
…そう、ハボックを癒やしているように。
数時間後、ハボックが目覚めた。うつろうつろになりながらも、ハボックの目が天井をしっかり見つめられるようになった頃、ようやく自分の状態を把握してきたのか、がばっと体を起こした。
「……っつ!!!!…ここ、どこだ…??」
「私の部屋だ、ハボック。」
「店長…!!」
ハボックが運ばれた部屋は、ロイの店に隣接するロイの部屋だった。
「店長じゃなくて…名前で呼んでくれ……じ、ジャン///」
「えっ…!!いいんですか??」
「あぁ//お前にだけ許可するよ。」
「でもヒューズの野郎は…??」
「あいつは腐れ縁で許可しただけだ。仕事上ではあいつも店長って呼ぶしな。…嫌ならヒューズに「店長」で統一しろというが…。」
「いいっすよ。俺のことも名前で呼んでくれてるし。お互いに名前で呼び合う仲なのはロイにとって、俺だけでしょ。」
「そ、そうだな…//ジャンが良いなら私は構わない。」
ロイの赤面している様子を、可愛いとハボックは感じつつ、ふと自分の体の傷がだいぶふさがっていることに気が付く。
「あれ…??俺の傷、こんなに軽かったか…??」
それに加え、ロイをしっかり見ると、顔色があまり良くないことに気が付く。
「ロイ…??大丈夫??…そういえば、あの焔は…??」
「そうだな…。とりあえず、お前の隣に寝かせてくれ。」
そういってハボックの寝ているベッドにロイが滑り込み、ハボックにしがみつくように横になった。
一呼吸おいてから、ロイは自分から発せられた焔について、話し始めた。
[1回]
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