「大佐大佐―!!」
ハボックは頭に雪をたくさんのせながら、ロイの執務室に入ってきた。
「おいおい、雪は外で落としてからきたまえ、ハボック。」
「えへへー♪すんません♪」
そう言って入ってきたハボックの手には、1枚の紙があった。
「…で、どうしたんだ、その紙。私のサインでも必要なのか??」
「まぁ…サインが必要っちゃあ必要なんですが…その前にちょっと話聞いてもらえます…ロイ??」
先程まで頭の上に雪を積んでいたハボックとはうって変わって、真面目な雰囲気となった。
ロイは驚きつつも、その真相を探るべく、ハボックの作り出した空気に乗ることにした。
「わかった。聞こうか、……ジャン。」
ロイはペンを置き、デスクに肘をついて前に手を組み、しっかり話を聞く体制に入った。
「…ロイ。」
すると、何故か今の雰囲気を作ったハボックも緊張していた。
…相手はロイ、ということもあるのだろうか。
少しの沈黙の後、意を決したようにハボックは話しはじめた。
「ロイ。…俺は、あんたにとって、足枷にしかならない…と思う。男だし、部下だし、頭わりぃし……。」
「でもね、俺、ロイを幸せにする自信はあるんだ。絶対苦しい思いはさせない。幸せになるための辛さはあるかもしれないけど、絶対笑顔にさせる自信はある。」
「保証はないかもしんないけど、ロイが嘘だと思ったら、切り捨ててもらって構わない。……だからロイ、結婚して。」
すっとロイに近づき、自然な流れでロイの頬にキスを落とし、デスクの上に手に持っていた紙を置いた。
--------「婚姻届」と書かれた紙を。
ロイはハボックの話と一連の流れを聞いて、見て、一瞬目を丸くして驚いたが、あまりにも出来過ぎな流れに、ロイは「はい」としか返事が出来なかった。
しかし、ハボックは嬉しそうな笑顔をロイに返した。
ロイが書面にサインしたあと、ふと浮かんだ疑問をハボックに投げかけた。
「ハボック、確かアメストリスでは同性婚は認められていないはずだが…。」
「それは大丈夫っすよ!!おかのさんに法律変えてもらったんで♪」
「おかののやつ……!!(や、やるなぁ…)」
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