お前の
あなたの
『紅』は
俺にとっての
僕にとっての
『罪』の証-----------
俺の名前は沙悟浄。23歳。
物心つく頃から両親はいなかった。生まれつきの赤い髪のせいで、時々人から避けられたりもしたが、持ち前のコミュニケーションテクで、人間関係をこじらせたことはないし、女にも不自由しなかった。
そんなある日、金髪の野郎と出会い、ホストクラブのホストに勧誘された。
生活できればどんな仕事でも良いと思っていた俺は、すぐ二つ言葉を返し、その店で働き始めたが、とある客の注文で、その金髪とキスする羽目になった。
そのキスのお蔭で、俺はご先祖様の代々受け継いでいた記憶を取り戻し、封印儀式のことも思い出した。
そして、金髪の野郎は、先祖が「三蔵法師」であることも思い出した。
金髪の野郎------三蔵とその話をして、各々封印儀式のために必要な人材を探すこととなり、三蔵は悟空、俺は八戒を探すことになった。
ほどなくして、俺は八戒を見つけたのだが……。
八戒は、いつの時代にもないくらい、人を寄せ付けようとはしていなかった……。
「いらっしゃいま…って、またあなたですか…。何度も申し上げていますが、僕はホストクラブなんて行きませんから。」
八戒は、某私大文学部の院生だ。俺とタメで、ちょー真面目さんで、本屋でバイトをしている。
八戒を見つけたのも、たまたま俺の客が雑誌編集者で、自分が書いた記事を読んでほしいとせがんだから、雑誌を買いに向かった店が、たまたま八戒のバイト先の本屋からだった。
やっぱりご先祖様たちの血のせいか…俺はすぐ、八戒を見つけて、「こいつだ」って確信した。胸につけているプレートにも「猪 八戒」と書かれていたし、間違いなかった。
そうと決まればいつもの俺のトークテクの出番。
八戒のいる本屋に顔を出しては、俺の働くホストクラブに顔を出してくれと頼んでいた。
一応、三蔵にも確かめてもらう必要があったし。
でも、さすがは頭のキレる八戒。そう簡単には「Yes」をくれなかった。
そうこうしているうちに時が過ぎてしまい、時間的にもあまり余裕がなくなってきたのだ。
無理にでもキスして、八戒を使い魔にしても良かったのだが、俺はこいつの気が強いところに惚れてしまっていたわけで…どうにか両想いにしたかったわけなんだ。
「なぁ…頼むよ…八戒。」
「僕のこと呼び捨てにしないでください。だいたい、あなたいきなり何なんですか。」
「…たく…お前ちょっとは素直になれよ…。顔真っ赤にしながら怒っても意味ないぞ…。」
「人を馬鹿にするのも大概にしてください。初対面の相手にする態度じゃないですよ。」
「…俺は初対面じゃないんだよ、八戒。」
「はぁ…??と に か く。本を買うならまだしも、買わないなら出て行ってください。営業妨害で訴えますよ。」
こうして今日も俺は引き下がる羽目になったが…今日はこれでは終わらなかった。
そう、事件が発生したわけだ。
[1回]
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