「そういやお前さ、悟能んときは髪伸ばしてたよな。」
急に何を言い出したかと思えば、悟浄は僕の髪を触りながらそんなことを言ってきました。
「えぇ、そうですね。」
悟浄が何を言いたいのかよくわからず、その場凌ぎの適当な返事をすると、
「いや…髪型でふと今思ったんだが、悟能のお前にどっかであった気がするんだよな~。」
なんてことを言ってきたんです。
勿論僕には心当たりが全くありませんでした。
まず悟浄と僕の生活リズムがまるで違いますし。
それなのに、どこかで出会うなど、無きに等しいわけで。
…それに。
「仮に前に出会っていたのなら、僕があなたのことを忘れるわけがないじゃないですか。」
だってあなたはこんなにも僕に優しいのだから。
あなたはこんなに僕の掛け替えの存在になる程の人間なのだから。
…本当に僕等が遠い昔に逢っていた、という事実を、僕等はまだ知らないでいた。
お互いにそれに気がつくまであと少し。
[1回]
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